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機人と龍   辺境の惑星 1   (漆黒の邪竜ダークドラゴン) 


「また…此処に来るとは思わなかったな…」
目の前に広がるすり鉢状の大穴を見下ろして、ファングは吐き出すようにつぶやいた。その言葉に虫人であるライトニングが同意するように軽く頷く。

『zi…お前たちは こんな場所にいたことがあるのかzz』そんな二人の様子をレンズで認識してバトルロイドのデストロイが問いかける。
彼ら帝国の傭兵部隊の面々が目にしているのは、かつての廃鉱跡であり過酷な流刑地として有名な辺境惑星の山岳部であったからだ。

「12年位前にちょっとばかりやらかしてな」意味ありげにファングが応える。
『zi…ベイグスのおまえは どうなんだ』
「おで様は、単なる仕事だ」
デストロイの言葉にライトニングもそう返した。

 … それにしてもやらかしたってのは例の事件の軍罰のことだろう それに 一般的なベイグスもこんなところには従事したりはしないはずだが…

13年ほど前の事件の事と平均的なベイグスの就業についてをデータベースから検索したデストロイは、複雑な思いで同僚と新米の顔を交互に頭部前面にある単眼レンズで見つめる。


「おい、その所作は変なことを思ってるんだろ?」

 以外に 勘の鋭い奴だな

ファングの言葉にそう感じたデストロイは、改めて新米であるファングについて検索をかけなおす。

『zi…龍とゆうものは 洞察にもすぐれているものなのか?』

「龍といってもその末裔のハイブリッドだからな、それにさっきから頻繁にデータベースにアクセスしてるみたいだが俺だって繋がってるんだぜ」ファングが不敵に笑う。

更にファング自身について検索を試みるが、重要なデータは削除されていた。

「どうした?探れないのか?俺にはアイツがついているからな」
更に笑みを浮かべるファングを凝視して、デストロイは新米が訪れた日々の事をメモリから再現していた。





「こいつが本日からお前たちの仲間となる、元帝国軍曹長ファングだ」

『zzこの時期に新入り? しかもここにか…』

バトルロイドのデストロイがそんなワードを導いたのも無理はなかった。彼の所属する部隊は傭兵職の亜人部隊であり、形だけは帝国軍の指揮系列の末端ではあったが、所詮は傭兵の使い捨て部隊だったからだ。

「ホンショクノエリートサマガ コンナハキダメニトハ ワラエル」
何処をどうやって笑うのか理解しかねる鉱石体のキューブが思念を音声として表す。

「このちびが何をやらかしたのかわかるか?デスト」
大柄な熊人のテディの言葉にデストロイはモノアイを下げることで頷き、早々にデータベースにアクセスすることにした。


 見た目はNHだが 龍??なのか? 軍歴には確かに曹長と記録されているが ん?これは…


   それ以上の詮索は…


 なんだ?誰だ?何処からオレの内的領域に侵入した?


    余計な詮索は身を亡ぼすわ 貴方も死にたくは…機能不全にはなりたくないでしょう?

    こんな風に…


デストロイがその音声を改めて認識した途端、視覚にあたるセンサ群から一つ一つ機能が失われていった。


 どんな攻撃なんだ…これは…

全ての外部情報を遮断され暗闇状態のなか、内部メモリの限られたスペースで思案を続けるデストロイ。


   攻撃ではないわ 貴方と貴方の世界との繋がりをほんの少し断っただけ



 そんなことが可能なのか 理論上の全ての次元に保護同調されているはずのオレの通信認識プログラムが…

 そうかこいつがボスの言っていた 次元の魔女なのか…


   そんな風に言われてるのね…


デストロイが未だ外部から完全に遮断されている状態で、またそれだけが声として認識された。闇の中の淡い灯火のように。



「おい!先輩さんよ!どうかしたのかい?」

不意に響いたファングの声にデストロイは我に返った。

「なんか固まってたみたいだったけどよ」

気が付けば全ての機能がいつの間にか回復している。


『zzi 声が…』

「やっぱりな…そうじゃねえかと思って「やめろ!」と言っといてみたけどよ。それにこれから世話になる場所で面倒事はごめんだからな」

『zz きさまは…次元の魔女と知り合いなのか?』

「保護者だ!………と、アイツが勝手に言ってる。少々過保護気味だけどよ」


『zii そのようだな…』


   …わたしのお気に入りなの彼は


『!!zzzz 』


    そんなに大慌てで防壁を張り巡らさなくても大丈夫よ…


その声に、デストロイはモノアイを小刻みに巡らすしか応えようがなかった。









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