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郷愁  (体験恋愛小説

郷愁  3  (体験恋愛小説

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今夜は運も縁もないのだろうと駅に戻ろうとしたボクを、懐の携帯が呼び止めることとなった。

取り出した携帯は彼女の名を表示していた。

「もしもし和也君?どうかしたの?」

携帯から聞こえた声は、もうなじみ深い彼女の声。

「こんばんは、まりさん。ボクが何処にいるかわかる?」

「えっ?もしかして…」

「沼津の駅北だよ」

「…やっぱり。送ってもらった写メに似てる人がいるなあって思ってたの」

「そう、この間の電話で仕事の都合とか聞いて余計に会いたくなっちゃって…今から何処かで少しだけお茶するとか無理だよねえ」

ダメもとでボクは聞いてみる。

「今からだと…部屋に戻っちゃったし…和也君は時間とかは大丈夫?」

「今日は終電までなら大丈夫だけど」

「………なら、部屋に来ない?何もない部屋で和也君が良ければだけど」

思わぬ誘いにボクは直ぐにこたえを返す。

「じゃ喜んで、遠慮なく!」


そのあとは簡単に彼女のアパートまでの道のりを聞いてはやる気持ちで歩き出すだけだった。

電話で教わった通りに駅前の大通りを西に向かってゆくと、目印だと言われた病院の看板が見えてきた。

それを通り過ぎたところの角のアパートがそうだと聞いたのだったが、辺りは暗く人通りもなかったのだが人影を見かける。

「今晩は和也君」

それは先ほどの彼女の姿だった。

「今晩はまりこさん。改めて初めましてボクが和也です」

そんな挨拶を返したボクの手をつかんで彼女は笑顔でボクを案内してくれた。

角を曲がるとすぐに、階段があるアパートがあり彼女はそこにとボクを連れてゆく。

「何もないけどね」とそう言った彼女の部屋は家具も少なくて生活臭もあまり感じられない殺風景なものだった。



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