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ドクターV  8 (それぞれの個体  漆黒の邪龍 ダーティードラゴン)


「…これはまた形容しがたいものだな」

「ホテル”アンティル”名の通り、蟻塚を模したものですね」

ビバームスのつぶやきにトロイが応える。


「この地区の再開発にはうちも携わっていて企画書には目を通していたが、実際に目で見ると奇天烈なものだな」

「我が社がかんでいるから予約なども楽にねじ込めたのですが…」

二人が見上げるそれはとてもホテルとゆう外観には程遠く、高層ビルを溶かして所々窓を塗りつぶしたようなものであった。蟻塚とゆうには形が整いすぎており、辛うじて外壁の色合いと質感がそれらしく作られているのみで、光学兵器によって溶かされたビルと呼ぶほうが遥かにましなものだった。


「これがまた、虫人族からも不評らしくて実際の巣穴とは似ても似つかぬものだとか。そんな感じで関連の企業や一部の要人くらいしか利用客がなくて、せめて経費の穴埋めのために他人族の好みに合わせて土産物や料理を提供する店などに改装したみたいです」

「まあ、虫人族の食するものをそのまま食べる者も居ないだろうがな」

「ですから雰囲気だけでも楽しめるようにアレンジしたメニューが並んでいるそうなんですが、味のほうはちょっと…」

「ステラの食癖は今になって始まったものではないから、食せるものが出てくることを祈ろうじゃないか」

「そうですね」

気の進まないトロイは諦めたように告げ、ビバームスを店へと案内することとなった。


「中は意外とまともなのだな」

「ベイグ…虫人族とはいえ、一応彼らも知性と理性をもつ種族でありますから辺境でも今どき巣穴みたいな所で生活などしていないようですよ。上階の宿泊フロアーはサイズ的に人族よりも大きめの部屋や家具などがあつらえてあるそうですけど」

「そうだな椅子もテーブルも標準サイズだ。席の間のスペースが凄く広いのを別にして」

「先ほどのフロントにも虫人族の者がいたじゃないですか、彼らが給仕となるとこのくらいは必要なのでしょう。それと虫人族用の席も奥にはちゃんとあるそうです」

「なるほどな、先ずは料理を決めてみることにしようじゃないか」

そう言ったあとでビバームスはテーブルの脇のコンソール部分を軽くタッチしてみたのだった。




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フラメント
Posted byフラメント

Comments 1

There are no comments yet.

紗夜  

フラメントさん、こんばんは^^

確かにトンボも秋の気配を感じるアイテムですね
トンボと言えば夕焼けの田んぼ道を思い出します

2018/08/29 (Wed) 18:53 | EDIT | REPLY |   

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