筆箱   (短編集 ブラックブック)












非常に子供じみたことだった。

当たり前に子供じみたことだった。


たわいもない言葉にイラつき、その言葉を消そうとしただけのつもりだった。

咄嗟にしてしまったことだった。 





ケ レ ド ソ レ ハ ユ ル サ レ ナ イ





その時思ってしまったのだった。

正確にはあとあと浮かんできたのだった。

消えることなくいつまでも。

今でさえも……。





怖いと。


 自分が怖いと。


  何をするかわからない自分が怖いと。


   いつか、やらかしてしまうだろう自分が怖いと。





だからボクは本気で他人と向き合わない。

だからボクは本気で他人と争わない。

だからボクは本気で他人に語らない。




あの時の鉛筆の感触を思い出したくないからだ。



やけにモノクロームで虚ろな、血まみれの筆箱をまた見たくないからなのだ。










スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment