鬼畜  (小説  鬼畜)


「苗床の様子はどうだ?」

「な…体外受精による被検体のことでしたら、被検体ABC全て母子ともに順調です」


「我々は今回の実験で成果をあげ、更なる新たな苗床を確保しないとならない」

「はっ…はい」

「そのためには予算だ。このプロジェクトの予算獲得のためには先ず第一に成果をあげること。お前にはこの崇高なるプロジェクトのスタッフとして、そして俺と同じ親から生まれた優秀な遺伝子を持つものとして卵子の提供だけでなく教育も期待している。超人類のための特別な教育をな」


「どうやら三つの苗床のうちの一つだけが牡のようだな。その牡の特別教育係に任命する、教育プログラムは、こちらで作っておくからその指示通りに全部従え。他の苗床は気にしなくてよい。超人類を多く作り出すためには、一つの対象しか受け入れられない牝よりもより多くを孕ませることができる牡のほうが効率が良い」


「…教育プログラムですか?」

「ああ、超越した肉体はもとより精神的にも人を超えるよう、くだらない既存の概念を省いた教育を実験的に施すのだ。それによって原質的な恐怖や禁忌を犯すことによるストレスの軽減など現人類の壁を乗り越え、いやその壁を壊してゆかなければならない。そしてゆくゆくはそれを種馬とし多くの超人類を生み出すのだ。そのための礎となることを命ずる」


「………承知しました」






俺が最初に意識した牝は母だった。

そして最初に欲望のはけ口とした牝もそれだった。


もっともそれが、そう名乗ったのは死に際であったが。


物心が着いた頃から、いや、それ以前から俺の周りにはそれしかいなかった。

それは俺に多くの一般的には偏ったことを事を教え、俺が牡の片鱗を見せ始めると、自らその相手を務めるようになったのだ。



一般的に父と呼ばれる存在のことはほとんど知らなく、それを教えられたのは俺がその牝の教え通り俺の感情の赴くままに障害となる対象を取り除いたとき、俺の足元で骸となった牡を見て牝が呆然と告げた時だった。


そしてその牝は舌を噛み同じ骸と成り果てた。


後に思い起こせば、普通にそれは壮絶な事だったらしいが、そんな教育を一切受けてなかった俺は、少々の将来的不安と何よりも最初に障害を取り除けたことの達成感だけを感じていた。


それらの死は、俺に偏った観念を教え込むよう指示した鬼と言ってよい牡とそれに素直に従った畜生にもにた牝の自業自得の結果に過ぎない。


そしてその偏った鬼の考えと畜生同然の行為さえ何とも思わない俺は確かにそれらの血とゆうものをうけついでいるのだろう。


それらの死後まず俺がしたことは、俺の異母兄弟にあたる牝たちを探し出し、優秀なる俺の遺伝子を受け継がせるために孕むまで犯し続けることだった。

それは遠からず父と聞かされた牡のくだらない野望につながることだったのだろう。

そして、もっとも近い血縁のものと交わる行為に以上なる積極性を示していた牝と同じ思いも受け継いでいるのだろう。


そんな俺を周りや世間は鬼畜と呼ぶかもしれないが、そのことに俺は誇りすら覚えてしまっているのだ。









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2017/05/13 (Sat) 16:30 | EDIT | REPLY |   

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