熟れた女 2  (官能小説 虚構の夢) 


ボクが無視をしようかと思ったのも、無理はないと納得いただけると思う。


そのババ…その女性は、こともあろうに公衆の面前でボクの名を呼んだのだ。

「和也さーん、ここですよー」と。


住宅街へと向かう裏通りではあるが、人通りはある。

人嫌いで目立つことが嫌なボクは、怒りと羞恥で顔が赤らむのを感じたくらいだ。


無視をして通り過ぎれば、きっと何度もボクの名を叫ぶに違いない。

それを阻止するためにも、その迷惑な女にボクは仕方なく近づいた。


「和也さんですよね?良かった、和也さんたら通り過ぎそうだったから」

「まあ、立ち話もなんですからご自宅まで案内してくれますか?」

相変わらずボクの名を連呼する莫迦女の口を封ずるべく、ボクは怒りを抑え提案する。


「わかりました、案内しますね」

ボクの精神を削る行為をやめ女が先にたって歩き出す。


ノーマルの年増女に興味など微塵もないが、ボクの精神を削ってくれたお礼は何としてでも貰わねばと心の中で思いつつ後をついてゆく。

住宅街の間を歩いてゆくと次第に人通りも皆無となってゆく。

邸宅と呼ぶのだろうか、敷地も構えも大きな屋敷が幾つも並んでいる。


こんなところに住んでいるものが、ボクあたりに何のようがあるのだろうか?、こんな処に住んでいるから余計にボクみたいなものに縋るのかもしれないが。

そんなことを考えていたら、一際大きな構えの邸宅で女が立ち止まる。


「随分と立派なお宅なんですね。広くて大きくて」

「そうですね、一人暮らしだと広すぎるくらい…」

ボクの言葉に女が応える。

多少の疑問が湧くが、それについても話があるのだろう。

返事については返すこともなく、思わず構えてしまいたくなるほどの立派な門を、ボクは女の後に続きくぐることとなった。

高い塀に囲まれていた広い敷地の中には、樹木が植えられた広すぎる庭と古風な佇まいの平屋が待ち構えていた。

一人暮らしならばさぞ大変なんだろうなと思いながらも、そんなものは業者が手入れをしているのだろうと気が付く。

通いの使用人でもいるのかもしれないなと思うほど、ボクには縁のない立派な屋敷に見える。


それから玄関に入り幾つもの部屋が並ぶ一室にボクは通された。

そこは古風な外観からは思いつけない近代的な洋風の部屋であった。

それはそれで歴史などを感じてしまったのだけど。










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