飲み直し  ( 官能小説 迷子) 


見慣れない部屋の中で俺は戸惑っていた。

知らぬ間においてけぼりを食らった子供みたいな感じだ。


何故俺は此処にいるのだろう。

どんな理由で此処に迷い込まされたのか。


酔いが覚めるのと同時に色んな困惑が浮かび上がる。


「お待たせ、コンビニのつまみだけど温めたから、ビールでも呑み直す?それとも同じように温かいお茶とかの方がいいのかな?」

「…お茶でお願いします」俺はかしこまった返事をかえす。

「それなら私はビールで」店の中とは違う雰囲気で笑みを浮かべた声がすぐ帰ってきた。

そう俺は、呑み直すこともなくみゆきさんの自宅に上がり込んでいたのだった。


店を出てから俺は、付き合ってくれるとの申し出に、なにか小腹を満たす店などを聞いてみたのだが、カラオケやファミレスなど近くにはなく当てが外れたなあと感じていた。

どうしようかと困惑する俺に、みゆきさんから更なる困惑の言葉が告げられたのだ。


「秋津さんが嫌じゃなかったら…私の住んでるアパートにくる?それともホテルの方がいいのかしら?やっぱり」

「いえ…ホテルだなんてそんなつもりは」

「じゃあ決まりね、私のアパートで呑み直しましょう。コンビニにでも寄ってつまみと飲み物を買ってゆけば良いし」

そんな感じであれよあれとゆうまに彼女の部屋に上がり込むことになっていたのだ。


「改めて乾杯しましょう、この出会いに」

そんなハイテンションにあわせ俺も、戸惑いながらも温かいペットボトルを彼女が手にした缶ビールに遠慮がちに合わせることにした。

割とものが少ない1DKの中、賑やかしのようにただテレビだけが主張するように映っている。

床に敷かれたカーペットの上つまみを載せた器がローテーブルに置かれていて、それを囲うように二人で座布団替わりのクッションに座り込んでいる格好だ。

俺は気まずさを感じながらも温めてもらったつまみをつついてはペットボトルのお茶を呑む。

その様子を眺めながらみゆきさんが缶ビールを開けてゆく。


「やっぱり嫌だったかしら部屋まで来るのは」少し酔った口調でみゆきさんが問いかける。

「それと、いつでも誰とでもこんなことしてるわけじゃないから」

「はあ」俺は気のない返事しかできなかった。


さすがの俺でも、会ったばかりの女の部屋にいきなりお邪魔したことは記憶にあまりない。

酔いと勢いでホテルへと向かうならいざ知らず、どちらかといえば色々と勘ぐりたくなるシチュエーションだ。

「見ての通りの独り暮らしよ心配しないで」

訝しげな表情が現れていたのだろうそんなことまで言われてしまう。

「なんなら泊まってもらってもいいのよお布団はひとつしかないけど」

誘われているのはわかったが、理由が思いつかない。店でも熱心に話しかけてきたのはほのかちゃんだけだった。

「…泊まるのは構わないけど、何故かを聞いてもいいかな?」

俺はそう問いただす。

「だって、これから帰っても寮じゃ一人暮らしでしょ?一人より二人私もその方がいいわ。それとも彼女や奥さんに言い訳がたたない?」

「ボク…俺はまだ独身だから…」

都心にいる彼女の耳にでも入れば文句を言われるかもしれないが、そこは黙っていればすむことでそう返事をする。

「それに………凄く寂しげに見えたから…私には…」

俺は驚いた。

そんなことを言われたのは初めてだったからだ。

俺は仕事柄話し好きで、面白い人とかはよく言われるがそうゆうふうに思われたことなどない。

どちらかといえばホテルに入ってまで相手に対し笑わせることのほうが多いくらいだった。


「それじゃあシャワーでも浴びてお布団に二人で潜り込むことにしようか?そしたら寂しくないように抱きしめてあげるから、代わりに私も抱きしめてね」

そう言って彼女の唇が俺の唇を塞いできたのだった。

あっさりとした口づけの後、「部屋はそのままでいいから、シャワーを先に浴びてくるわね」と宣言された。

いつもとは違う調子のくるう展開に俺はうなづくばかりであった。

1DKの部屋でぼんやりとテレビを眺めていると、タオルを巻いただけの彼女が部屋に入ってくる。

「布団を敷いて待ってるからあなたも浴びてきてね」

酔いなのか照れなのか少しばかり赤い顔で、彼女がそう告げる。

「ああ」

腹をくくった俺はそう返すと取り敢えずバスルームへと向かうことにした。




一応 官能的な場面に なりそうな 展開にしてみましたww

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