叱責   (トレデキム  漆黒の邪龍 ダーティードラゴン) 


「いったいオマエたちは何をしでかしたんだ?」

唐突に叱咤とともにステラの目の前に映像が浮かび上がった。

それは並列思考を促し別次元の視界を起動したため、彼女の周囲の視覚情報を阻害することはなかったのだが。


「えっ?ビム?…パーソナル??」

一瞬混乱したステラは独白し、ようやくそれが個人通信の虚像と理解する。


「この莫迦と何をしでかしたと聞いている!。おかげでLXX(リーイクスイクス)のメインフレームがハングアップして、現在も多くのスタッフが復旧に駆けずり回っているのだぞ」

よく見ればビバームスの虚像の奥に小さいかたちでトロイの姿も見て取れた。

「ですから先程も報告したとおり…」

「私は、ステラに問いている!!」

後方の虚像が言いかけた言葉を目の前の虚像が遮った。


「実は…どうしてもファンの居所を早く知りたくて…後ろのトロイ君に協力をお願いしたの…そしたら…そうなっちゃったみたいで」

「ほおう?たかだか人探しのために組織の重要ツールを使い相手の怒りを受けたと…コロニーメトロの管理するシステムに無断介入し秘匿データにアクセスしてみたと…それがこの結果か…」

「…だけど」

「言い訳は聞かぬ!トロイの奴が上司であるお前の頼みが断れるわけがなかろう。そのような無作法なことをすれば、相手の怒りを買うことくらいお前にだったら推測できるだろう!」

「…でも、そのプログラムの仕様なんてわからないし…」

「言い訳は無用だ!これはあのお方に対するLXXの反逆とも取れる行為なのだぞ!…私は早急にこの莫迦と共にトレデキム様のもとに釈明に向かうから暫くそのオリジナルボディを借り受ける。お前は私の代わりにこのバイオロイドに移り変わり復旧の手助けでもしていろ!」

その言葉と共にステラは意識のデータ化を感じ、組織中枢部に改めた自分が存在することを感じた。



「相変わらずこんな格好で…」

ボディ交換を果たした(厳密には元の身体に封じ込められたオリジナルの意識を覚醒した)ビバームスは自らの姿を見下ろしため息をつく。

すぐさま意識を切り替え、正装に身を包み隣の部屋へと向かう。

そこにはこれまた意識の転送をすませたトロイが控えていた。

「ボートの準備は整っています」

その言葉に頷いてビバームスは足早にエレベーターへと向かいだしたのだった。



関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment