捜索 3   (トレデキム  漆黒の邪龍 ダーティードラゴン) 


「それにしても、部屋着にしては些か…」

ウインド越しにステラの格好を見て男が言った。

「寝起きだからね。ともかくお願いがあるの、ファンと連絡がつかないの、なんとかならない?」

それをスルーするかのようにお願いを続ける少女。


「それは簡易端末ライトビットを用いてもだめとゆうことでしょうか?」

「そうなのよ、通信に特化してるこの子を使ってもお手上げで、それでビムが出勤前にバンクに渡りだけをつけてくれたんだけど…」

手元の浮遊する端末を見てステラはそう答えた。

「ボスが?…まあデータ収集のための面倒なクラッキングをボスがしてくれたんだったら話が早いです。先ずは奴の特定から。…モニターのチェックをそちらでもできるように展開しますよ」

「お願いねトロイ君」

そしてステラのもとに新たなフロートウインドが幾つか展開してゆく。

ファングの特定情報、移動記録、そしてこれは探索プログラムだろうか?、数個ものモニターの点滅をステラは見つめる。

「…この並行処理はさすがってとこね」

ステラは小さく呟いた。

「あー、まずは奴の個人情報ですけどみた通り相変わらずですね。ほとんどの項目がUN不明、ノーマルヒューマンにしては多過ぎる項目があるはずなのが秘匿されてる状態を物語ってますけど。犯罪歴など、無ければ項目に現れないはずですから。ネームと現住居、あとは…。移動や物資の購入など全てのデータ管理に繋がる仮のIDさえUNじゃお手上げだ」

「じゃ、無理なの?」

「いや、こんなのは仕事ではざらですよ。対処方法がないわけじゃないです。ただUN項目を外すのがあのガーディアン相手だと少々手間取る感じですが。こいつも並行して続けますけど、もっと別の観点からも試してみます」

「ガーディアン?ガーディーさん?」

聞き覚えのある名前に反応するステラ。


「そうです、昔からあいつは奴ファングに対して過保護でしたからね。この隠蔽もしばらくの間とは推測されますけど、別を試してみます」

その言葉と同時に新たな複数のウインドが更に展開を始める。


「これは?」

「単なる人探しのソフトですよ。奴の行動情報が伏せられてからの時間を推測して、そのメトロから移動してる可能性は限りなく少ないです。軍の緊急ミッションで使う万能艇でも使わない限りはですが」

「人探し程度のもので見つけることができるの?」


「個人的な身体情報や顔を入録して、犯罪者などを見つけるものですけど、バンクの紐さえ取れていれば各場所の監視カメラなどの記録にアクセスして比較探知できます。結構使えますよこれ。あとは監視マイクや多くの音声入力端末などの記録にもあたります。似たようなものですけどね」

「入力端末に記録なんて残ってるんだ」

「あまり知られてませんけど、公的なものとか大きい企業ではその個人の真偽の確認のために一時的にプールするところがあるんですよ。形はログ履歴として残ります。一定の時間が経つと容量の制限なんかの関係で順番に自動抹消されますけど」


「あっ、なにか…」

ウインド越しの男が放った言葉と同時に全てが切れて消失した。


暫しの沈黙のあと、再び最初のフロートウインドが立ち上がる。

「どうかしたの?」

「なんか、報復の反撃をくらったみたいです。確かに酷似した人物を宙港あたりでみつけたのですが、アクセスの途中で逆に探知されてLXXのメインがダウンさせられて…」


「…記録が出てきました。相手は…メトロコロニーのメインフレーム?どうやらこちらの戦略室の端末までの情報は割れてないみたいですが」

「…メトロのメインフレーム。…それならこちらでなんとかなりそうよ。…彼は偉大なる物の代理人の一人でもあるから」

「それってことは…プロフェッサーの複製体ですか」

「そうよ、どんな状況かわからないけど彼とは連絡が付くわ、メインキーをビムから受け取っているし」

「そいつはそちらでお願いします。私にとっては少しばかり手に余りそうですから」

「色々ありがとねトロイ君。それじゃ仕事が頑張って」

そう告げてステラはため息をついたあと、彼女にとっても手に余る相手への会話をはじめる事とした。


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