会話 1   (トレデキム  漆黒の邪龍 ダーティードラゴン) 


「それで結局あんたの興味は、この俺の何処にあるんだ?」

その見覚えのある何もかも見通すような眼差しで目の前の男が問いかけてくる。


「それは君もトレデキムだからだ」

私はそのワードを投げかけてみた。

「ん?俺も?ああ、十三番目と云う事か…」

「そうだ…十三番目の特別被検体コードネームDD、それが君なのだ」

「…それが?」

隠された真実を告げた私に対し、彼はあっさりとこう答えた。


「知っていたのか?」
「ああ、生まれた時に周りに居た白衣の男たちがそう呼んでいた」

私は驚いた。私の中での情報としては、生まれて直ぐにコードネームをつけられ、後にはDDとしか呼ばれていないはずだったのに。

それさえも学習プログラミングのあとは、その事実は消されていたはずであったのに。


「俺は忘れないからな。例え意味不明な音であろうと認識できない映像であろうと、音は聞こえて瞳は撮していた。それを後の強制的な詰め込み学習の知識から解明するのは当たり前のことさ」


「それが俺の能力、俺とあんたたちの能力だろ?知識を蓄え続ける怪物としての」

挑戦的なワードを淡々と話す男。

まさしく興味わく対象である。

「だが…あんたたちの因子を持つ被検体であろうが、もとの核はノーマルヒューマンで、…俺は、俺さ。ファング・ザ・DD。それが俺だ」


驚愕を打ち消すためにも、私はある話を彼にすることにした。

かの人が提唱した数字論だ。


「ファング君、君は数の持つ意味と力について知っているかね?」

「そんなのは知らないな」

彼にも知らぬことがあると知って私は若干の安心を認識し話を続けることができた。

「それぞれの数には、意味がありそれを導く力がある。I つまり”ウーヌス”には、唯一無二の変革の意味が。プラスでもマイナスでもそれまでの状態よりも飛躍のベクトルがある」

「それで?」

「II ”ドゥオ”には相乗効果により深める意味が、…相反することで減ずる場合もあるが。更にIII ”トレース”には互いに補う協調の意味が、…これにも互いに引っ張り無に帰るとゆう意味もあるのだが…。そして残念なことにはIV ”クァットゥオル”以降の数には争いの元となるマイナスの意味しかない」

「確かに多数での愚行はそれに当てはまるかもしれないな。まあせいぜい上手くものが進むのは三人くらいかもしれない、軍でのチームも三人が基本だったからな」


「これはかの人の無限とも言える統計によるものだから軍が採用したのも頷けるわけだ」

「それでその与太話がなんだってゆうんだ」

「今の話のとおり数の意味は、あとは似たようなものなのだが、XIII ”トレデキム”にはまた一つ意味が有る。唯我独尊、それはそれそのものでありそれ以外ではないとゆうことだ」


「俺は俺、あんたはあんたってゆうことか」


「そう、その独自性。私、私たちと同じその個性に興味を認識するのだよ」

「あんたたちは別として、このメトロの主であるあんたと一緒ってのは大げさすぎるぜ俺なんかにとっては」


「そんなことまで知っているのか…」

「知識としてならな。プロフェッサーの十三番目の端末個体がこのコロニーを制御するメインフレームを兼ねているなんてのはね」


再び驚愕を覚えた私は、改めて提案を掲示する。


「ならば、私と君は良い関係を構築することはできるだろうか?」

「あんたたちが云うところの俺はあんたたちから生まれたものであり、特にあんたたちに敵対したことはないんだが…勿論あんたにもそうするつもりもないがね」

「ならばこれからもこうしたひと時をのぞむのだが」

「ああ、互いに気が向けばな」

「そうゆうことだ」

そう述べて、私は会話を閉じることになった。




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