痛みの系譜 2 (小説 ベイサイドペイン) 

乾きをおぼえ夜中に目覚めると、見知らぬアパートの一室だった。

隣りで丸まってる小柄な女を起こさないように、そっと抜け出し流しを探す。

1Kらしき狭い部屋は、殺風景で家具といえるものはほとんどなかった。

流しに転がってたコップを手に取り、蛇口をひねる。

思ったより響く水音に、ビクっとしたまま布団の方に目をやったがどうやら起こさずにすんだらしい。

生ぬるい水の後味は、二日酔いの頭を徐々に覚ましてゆく。

ズキズキとした痛みの中、此処二三日の忌々しい出来事が蘇ってくるのをボクは感じていた。


信じていた上司と会社に、結果的にうらぎられ首になった事。

会社を辞めたことで、社宅から追い出され、行く宛もないこと。

何よりも自分自身どうでもよくなってしまったこと。


寒さを覚え、寝ていた場所にもぐりこむ。

女は静かな寝息を立てたまま、少しだけ身じろぎをした。



差し込む日差しに、意識が舞い戻る。

寝転がったまま伸びをし、横を見ると女の姿はない。


「お早う、和也…さん。」

声が聞こえた流しの方に顔だけ向けると、隣で寝ていた女がこちらを見ていた。

「私はヒトミ、そういえば夕べは名前をきかれなかったわね。」

女は笑みを浮かべながら傍まで来た。


「お早うございます、…ヒトミさん」

「あら、夕べにくらべ元気ないわね?」

女は相変わらず笑ったままだ。

とりあえず布団の上に座り込むと、女もその横にと座り込んだ。

差し込む日差しをまぶしげに目を細めながら女が見つめていた。



随分と昔に書いたものなのですが

ボクにしては 完結済みでww

半分くらいは 私小説みたいなものなので

再掲してみましたw
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