痛みの系譜 1 (小説 ベイサイドペイン)

建物と建物の隙間から覗く海を眺めながら、僕はつぶやく。

「海が青いなんて言う奴は夢の見すぎだよ、どうみても海の色は濁った緑色だ…」


狭いベッドから身を起こし、窓を眺めるボクの背中に柔らかく腕が絡みついてくる。

「カズちゃん、また何か変なこと考えてたでしょ?」裸の背中に、裸の胸が押し付けられる感触が伝わる。

「別に…何も…ただカモメを眺めてるだけさ」

振り向きもせずボクは、耳元によせられた長い髪に応えた。


「嘘ばっかり。鳥なんて興味がないくせに」吐息交じりの囁きが、ボクの耳をそそのかす。

「…もう一度してもらいたい訳?」やっと振り向いたボクは、柔らかい胸に顔をうずめながら意地悪い声を出して見た。

「カズちゃんが欲しいなら…」倒れこんだまま俺を抱きしめてくる声を聞きながら、またボクはつぶやきを浮かべる。

…海は青くなんかない ただの濁った水溜り

 ボクの心と変わらない

そしてそんなことを思いながらも、抱きしめてくる両腕が爪を立てるまでいたぶる事に没頭し始めた。




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「相変わらずここはかわんねえよな」

駅におりたちホテルに向かうまえに、港近くの公園に立ちよる。

吹く風は潮の香りを含み馴染み深い感じを受ける。

「やっとこれたね、カズちゃん」腕にしがみついたヒトミが嬉しそうにささやく。

「ああそうだな」

言葉少なげに応えるボクは、開発の進んだ駅周辺と綺麗になった公園を眺めながら昔を思い出していた。

「街並みだけは綺麗になったよな…」

つぶやきは小さすぎて届いてないようだった。

式も挙げずに所帯を持った二人の新婚旅行代わりの横浜旅行だった。


「とりあえずホテルに戻ろう」人ごみと出歩くのが嫌いなボクはそうそうに戻ろうとする。

「でも、まだ開いてないかもよ」

ひとみの応えで先ほどのロビーでの一幕を僕は思い浮かべた。



「ええっ?なんでチェックインできねえの?」

ホテルについて疲れもあって苛立ちの声をあげるボク。

「申し訳ございません。前のお客様が延長なされていまして…もう少々お待ちいただけますか?」

困惑したロビーの受付の言葉。

「冗談じゃねえよ、古くからのホテルかなんか知らねーけど、やめだやめだ帰るぜヒトミ」

「そんなあカズちゃん…、すいませんもう少し時間潰してまたきますのでよろしくお願いします」

泣きそうな声のひとみ。

「はい、なるべく早く準備いたしますので、ご迷惑をおかけします」そんな声を背にして僕はとっとと外に出て行った。

「せっかくの旅行なんだよ?カズちゃんは面白くないかもしれないけど私は凄く楽しみにしてたんだから…一生に一度の旅行なんだから…」

腕にすがり付いて泣きじゃくる声に根負けしたボクはしかたなく駅とは違う方向に歩き出すことにしたのだった。



暫くぶらぶらとしホテルにもどり、平謝りのホテル員から部屋のキイを受け取る。

エレベーターで目的の階まであがろうとすると上がれない。

「上階のスィートはルームキーがないといけないんだから」

「なんだよ、面倒だな」

自慢げに言うヒトミにそっけなく応える僕。

ルームキーを差込み上階へとあがる。

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予約のスィートは眺望も良く、家具など関心もない僕にさえ上等なものと見て取れた。

「まあ、落ち着いた感じは好みかな」

辺りを見回しぼそぼそと応える。

「でしょ」

まんざらでもないボクの顔に嬉しそうな声で応え、熱い唇が重なってきた。





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4 Comments

Sha-La  

こんにちは。
確かに海の水って緑ですね。
沖縄でもそうなのかな。
トラブルはあったもののなかなか良さそうなスィートに入れた二人。
これからどうなるのか楽しみにしています。
(1つ前の記事、コメント欄に気づかなくて
拍手コメを入れてしまいました…。
でも拍手コメで良かった気もします(笑))

2016/06/22 (Wed) 01:21 | EDIT | REPLY |   

blackout  

そうですね

海が青いと言われるのは、あくまでも光の反射によるもの

実際は、特に横浜や熱海あたりは、目も当てられないレベルだと思います(汗)

ええ、スイートルームは、自分もオナゴと行ったことがありますが、やはり色々違いますよねw

露天風呂もあったりしますからねw

もちろん、そこで…

止めておきますw

ちなみに、自分も挙式なるものに興味はなく、仮に結婚することがあったとしても、挙げる気はなかったりします

とはいえ、最近はこの手のナシ婚も増えてるらしいので、時代は変わるもんですね

2016/06/22 (Wed) 18:38 | EDIT | REPLY |   

フラメント  

Sha-Laさん ただいまです今晩は

すいませんです この話は 幕間でして

本編のその後の二人とゆうことでありますので この続きは今のところないです…

強いて言えば 一話の話がその後ですかねw

半分 私小説の ベイサイドペインにおいて このエピソードは

実際 あったことであり 誹謗中傷ではありませんが

某ニューグランドホテルにおいて こんな事がありましたw

お詫びに 花束と食事のチケットをもらいましたがw


2016/06/22 (Wed) 19:07 | EDIT | REPLY |   

フラメント  

blackout さん 今晩は~


飛行機や船がダメなボクは 海外とかの海は知らないのですが

西伊豆の一部の海は 透明度が高く 底まで見通せる場所があるのを知っておりますw

和也≒ボクなので ボクも派手な披露宴などやらなくて

簡単な内々の挙式と レンタル衣装での記念撮影だけですw

ですので 友人知人にあげた祝儀はほとんど 出しぞんですwwww


2016/06/22 (Wed) 19:14 | EDIT | REPLY |   

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