テストマッチ 1 (SF小説 ノイズ) 


「で…、この状況を説明して欲しいんだが…室長」

言われるままに案内された広い空間の隅で、とびきりの笑顔をした女性上司にオレは問いかけた。


「えー?説明したよねトロイ君。テストだよテスト、昨日言った」

「オレ…私が聞いたのは確か…新開発の空挺駆動機構のチェックと」

「うん、そうだよ」

きっぱりと返事がかえる。

浮かべた笑顔がとても意味不明ではあったが。


「君の腹部にそれが換装されてるからね。その性能をモニターするから、対峙する相手二人と模擬戦をね」

ますます意味がわからない。

対峙する二人、それは残念なことによく知っている顔だった。

忘れもしない傭兵部隊の時のチームだった奴らだ。


「よくわかんねーけど、さっさと始めようぜデストロイ」

黒づくめの優男がオレに向かって挑発する。

「その名はもう捨てた、今はトロイだ」

男の言葉を否定し、もうひとりの奴にオレは顔を向ける。


「戦闘莫迦のファングの奴はともかく、お前が何故此処にいるんだ?」

「オデはオマエとケッチャグをヅけるダメだ」

ベイグス特有の濁った言葉がかえる。


オレは覆うような疲れを感じながらもう一度、新たに上司となったばかりの女性に問いただすことにした。









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