漂着  (小説 魚人の街) 


カ  クのような部屋から出ると、いつも食べ物を運んできてくれる魚人の姿は見当たらなかった。

ふと  モノにでも出ているのだろうかとそんな考えがよぎったが、そんな思いは泡のように消え去ってゆく。

何もかもが虚ろでぼんやりとした世界それが此処、魚人の街だ。


立ち並ぶ見覚えのあるような岩肌を通り抜け歩き続けるボク。

割と明るいこんな時間のこの街は魚人の姿も疎らで、ひたすら泳ぎ去るばかりの巨大な魚もあまり見かけない。

そんな周りをぼんやりと眺めながらボクは今日もお気に入りの場所へと向かう。

やたらと鬱陶しいあの群青なる魚人や何かと騒がしい幾つもの華やかな魚人を避けながらボクは歩いてゆく。

岩波を通り過ぎ小高い場所がボクの目的地だ。


そこまでたどり着けば、ボクを悩ます  も  ウも何処にでもいる魚人の姿でさえもみることはない。

薄ぼんやりとした  の下、眼下には  ツブのような巨大魚の群れが流れゆく。

間近にあれば恐ろしく騒がしい巨大魚の群れではあるが、こうしてその姿を見下ろすぶんには、何故か心が安らぐ感じがする。

それはまるで  のようであるからか。


そんな曖昧な思いと  いな気持ちにボクは漂い始める。

そう、この街で。魚人の街で漂うボクは、この街に流れ着いた  クサなのかもしれない。









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