記憶

記憶 2  (暇つぶしにもならないたわごと)

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「そうだにいちゃん。あれもってねえか?丁度きらしちまってよう」

唐突に男が問いかけてきた。

わざとらしく自らを弄り下卑た目つきで僕を見上げる。

「タバコだよタバコ」

男が急かすように吐き捨てる。


「僕は吸わないので…。ああそうですね、話の謝礼として前金を渡しますからそれでどうでしょうか?」

ぶそっていた顔が笑顔にかわる。

「話がわかるねえにいちゃん。早くよこしなそれで間に合わせるからよう。心配しなくてもいいぜ逃げたりしねえから」

ひったくるように僕の手から札をもぎ取り、逃げるように葉なら出す前にそう言い残した男。

もとより僕は謝礼は考えていた。

それほどそのときはネタに詰まっていたからだ。

暫くのあいだ待たされ、これはやられたかなと僕が思い始めた頃男は、小さなビニール袋を下げながらタバコを咥え意気揚々と戻ってきた。

「待たせたなあにいちゃん。ちゃんと戻ってきただろ?話?ああそいつはちゃんとするからよう。先ずは喉を湿らせてからな話はよう」

そう言って男はごそごそとビニール袋をあさり、いかにも安そうな紙パックの酒を取り出した。

取り敢えずそれしかなかったのだろう、ストローをさす小さなやつだった。


「はあ…、にいちゃんは話がわかるねえ。兄ちゃんの心意気にその信頼に俺もこたえねえとな」

タバコをふかし酒をすすり満足そうに頷く男。

二つ目の酒を開けたあたりで僕の顔色を伺い、男はぽつりぽつりと騙りだしたのであった。


「信頼ってやつは必要だよなにいちゃん。でも…信用はしちゃあいけないぜ人をよお」

そう言って僕を見つめる男。

「人ってやつは信用できねえ生き物だからよ、他人も身内も、女も男もな」

その言葉に僕は、それでは全て信用できないじゃないかと心の中で思ってしまう。

目を細め遠い記憶を見つめるように騙り続ける男。

「他人はともかく身内だって信用なんねえもんだぜほんと。これは俺の体験に基づいた貴重なもんだから特別に話してやるけどよ」

そんな感じで男の思い出話ははじまったのだ。







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