悪食のマゼンダ  1 (ファンタジー小説 ユニーカーズ 日常からの逸脱)


「ぅはよお…」

無防備に明け放れたギルドの建物に入り私は挨拶を絞り出す。

「サリー、もう直ぐ昼になるんだけど」

「昼前ならおはようでいいでしょ?」

疼くこめかみを押さえながら返ってきたやけに爽やかな声に言い返す。

此処ウーマンズギルドは朝が早い、サービスの一環であるランカーズ窓口では早朝よりギルド員が溢れ討伐などの依頼を勝ち取ろうとごった返す。

いや、朝が早いと云うよりは休み休憩がないのだ。

ギルドが受け持つ各種サービス窓口は昼夜を問わず需要があるからだろう。

それにしても窓口の中のこいつの顔は、私の眼からみても清々しい。

体調を表す目安となるパラメーターも良好で、とても同じ朝方まで飲食を共にしていたとは思えない。

「なんであんたは、そんなに元気なのよ…」

二日酔いと寝不足、あと食べ過ぎによる最悪の体調の私はジト目で目の前の爽やかイケメンに愚痴を漏らす。

「それは体質…スキルの恩恵もあるけどね」

わかってるよねとウインクをしてイケメンがこたえる。


通常のランカーズギルドの職員も高ランク者が多くこのウーマンズギルド内のランカーズ窓口もそれに倣っている。

粗野な粗暴の多いランカーの揉め事に対処するためらしいのでもっともなことだと思う。

ただし通常のランカーズギルドとは違い見かけの良い高ランクの若い娘でなく、此処ではイケメンばかりなのだが。


「ところでサリー、今日はなんの用?」

「依頼の受注に決まってるじゃない」

「どんな?」



「…わりのいいやつよ」

「えっ?」

わざとらしいまでに耳を向けるいけ好かないイケメン。

「だから、儲かるやつよ!」

「そうじゃないかなあと思ったから、これ」

受け渡された依頼書は、採取を示す青い縁取りがされていた。


「条件は中級ランク以上、高額の依頼完了料とは別に出来高による割増もあるみたいだよ」

「うますぎる話ね…」

「今回は別にユニーカーズ絡みでもないみたいだから、一度会って詳細を聞いてみれば?小遣いが欲しんでしょ?」

「そっ、そんなんじゃないわよ!ちょっとばかり物入りなだけだから!」

「はいはい物入りね、じゃあ会うだけあってみれば?」

その甘言に戸惑いつつも、遊ぶ小遣い欲しさに私は結局目をつぶることにしてしまった。


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