異界転生 (ファンタジー小説)

遊戯と現実 1 (ファンタジー)

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そもそも転生なる言葉は、なんと読むのだろう。

巷に溢れるイラスト主体の小説やネットで検索をかければずらりと並ぶものでは<てんせい>だろうか?。

僕のような年配者からすれば、映画やアニメやコミックにもなった魔界転生<まかいてんしょう>つまり『てんしょう』と読みたくなってしまうのだが。


まあ、そんなどうでもいいことを考えてしまうのは、どうやら呆れるほど溢れてる、そんなありふれたありえない転生なるものを体験しているからだ。


異界の世界観中世ヨーロッパ風、つまり剣と魔法が大売出しのあれだ。

何も事故とかで死んだわけでもないので、輪廻に通ずる転生とは言えないかもしれない。

どこぞの国に召喚された話でもない。

だが、これまでの人生とはまるっきり無縁の世界で、年齢も若返り現実にはありえない力や法則の中で生きてゆかなければならないことは、転生とゆっていいのではないだろうか?。


そんなことを見覚えのあるその施設の待合件飲食を嗜む場所で僕は考えている。

昨日までは、普通の人生だった。

この姿でこの施設に出向き依頼のカウンターに出向く。

時にはこの酒場と言ったほうがわかりやすい場所で食事をし酒を飲み時間を過ごす。

冒険者としての活動を行い、その報酬を使い宿にと戻る日々。

そんな在り来たりの日常とは別の今の状況。

気が付けば此処にいたのだ。

冒険者ギルドと呼ばれているこの施設の酒場にいたのだ。

この余りにも見慣れた異界に、普段とは違うこの状況に今僕は打ちのめされている。


この世界はアナザーと呼ばれている、いやいた…。

そして、仮想空間ではなく現実としか思えないこの状況でもアナザーと称するようだ。


自分のよく知っている仮想空間サービスのAnotherに恐ろしい程酷似したこの世界は、その設定通りの世界観で広がっている。

いやまだ外に、街の外にと出たわけではないから単に広がっていると予想だけしているのだが。


昨日までのサービス内容とほぼ同等で、宿屋もギルドも昨日までのアバターである今の自分も変わりがない。


ただ、現実に戻れないだけだ。

自分が夢を見ているかのようだ。


だが、頬をつねれば痛く、この酒場の中は喧騒も酒の香りも満ちている。

確かに今までの仮想空間でも自らの視点でのリアルな映像、スムーズな会話多少の感覚などは実現できていた。

しかし、自分の頬をつねるなどの行為や周りの臭い、現に踏みしめている床の感覚など、ありえないほど感じている。


新しい感覚の導入など知らされてもいなければ、そんな細かい動作の導入など不可能とも思える。

何もそんなものを必要とするものもいなければ、そんなことを供給することもないだろう。


Anotherは新規のテクノロジーならではの高価なものだが、こんなにもリアルなものではなくせいぜい擬似的な体験を覚える程度のものだったはずだ。

決まった行動例えばイベント的なものや、戦闘行為などの途中以外は、現実へ戻るつまり接続が容易にできるはずなのに、そのためのものがない。


考えるだけで表示される幾つかの画面が出ないのだ。

初めは初期の頃のバグかと思った。

でも数時間すれば接続が切れるはずのそれは、いつまでたってもこなかった。


そんなわけで生命値の減少を視認する代わりに、ありえない空腹を覚えた今はこのギルドに常設されている酒場で食事をとっている。

幸い今までのAnotherの仮想世界の貨幣を今は持ち合わせておりそれは使え、よく頼む食事のメニューは予想通りの味だった。

本来の自分の年齢では御免被りたいそのメニューも設定通りの若さからか特に喉も通らなかったとゆうこともなかったのである。

取り敢えず食べ物の味が思っていたものよりも多くはかけ離れていなかったことだけでも僕はほっとしていた。





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