西国よりの客 1 (官能小説 娼婦はなんでも知っている  改訂版)


先日の客はいつになくしつこい男だった。

特別にあしらえられたこの島のこの館の中でも特異な私を望む客など大抵そうなのだが。


この島の西にあたる大陸の強国からやってきたと云うその優男は、王族に共通するどろどろとした隠微な執拗さと冷たく鋭い剣のような嗜虐さを期待に裏切らず持ち合わせていた。

館の主の命により上階の端にある薔薇の間にて、身を清め飾り立て朝から準備をしていたのだが、部屋の嗜好どおりの男の出現に思わずため息が出そうになった。

美麗で高慢、潔癖症な割にはアレの好みは下劣で、いちいち交いの具合を聞いてくるあたり、これでは睦言で聞かされた奥方たちも辟易するだろうなどと考えたりもした。


その朝は、時期はずれの賓客の来訪のせいか他の華たちはまだ館に出向いては来ず、朝から暇を持て余し人気のない見世物小屋のドゥースよろしく、趣向を凝らし異様とも言える部屋には似つかわしくない平凡でくり抜いただけの窓の外をぼんやりと眺めることしかできないでいたのだが。


暫くの間そうしていた私にノックの音が聞こえたのだ。

立ち上がり身なりを整え、いつものように扉を飾る低い位置に取り付けられた異形の取っ手に手をかける。

漆黒で統一された部屋で唯一異様に赤く彩られたそれを開き、下げていた頭をあげ丁重に挨拶を澄ますと不躾な視線で私の口元や顔、薄絹に覆われた胸元と下半身が視姦された。


「ああ、噂通りの綺麗な顔立ちだ、これで噂通りに具合もそうなら良いが」

そう言い放ち入ってきた客は、私よりも随分と若く懐かしくも朧ろげな大陸の砂の香りがしたような気がした。



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