ある ベイグスの事情 8 (SF小説 メトロの住人)
「それはそうとリトランド君、今朝のニュースのヘッドをピックしたかね?」
「えーっと…市長の声明のことですかね…」
「無論そうだとも、彼の心情変化を君はどう捉える?」
「まあ、ノーマル主義の市長が手のひらを返したことについては、興味はでましたけど評価はないってとこですかね。あの内容は選挙向けのPRじゃねえかと」
俺は何故こんな問答を繰り返してるのだろうと内心で思い続けていた。
此処パラダイス特区にあるEEなビルの上階に招かれた俺は、確かに只酒にありつけている。
マイクの奴に連れられて訪れたこの場所は、バーとゆうよりもイベント会場のような趣だった。
高い天井の広い部屋には丸テーブルが幾つも並べられ、多くの客が先程まで飲食をしていたであろう中で、残っていたのは数組のカップルのみであった。
マイクが知人であろう誰かに挨拶と俺の紹介を始めようとしたところ、場違いな叫びが上がった。
「なんと例のベイグスが此処にきてるのか?」
それは、会場の片隅にいた冷たい顔のヒューマンらしき牝の元から発せられているようだった。
その牝はその叫びに頷き、手元のパネルをこちらに向ける。
「おお、間違いないのだな。それは私自身の目で確かめる、引き止めておけ!」
そのパネルが騒ぎ続ける。
そんなハプニングの間に、マイクの奴の上司と顔見世をしあい、賓客として訪れていたらしい先程の牝に紹介される。
いや、牝といった表現は、まずいらしい。
その女性はマイクの会社の親会社のお偉いさんらしかったからだ。
そのお偉いさんから飲み物を勧められ、俺はお上品にフェイクを使い飲み始める。
先程の叫びなんかの関係じゃなくTPOとしてのことからだと思いたいのだが。
その足止めを何回か飲み干したあと俺は、やってきた騒がしい男の相手をすることになった。
このアルタイル銀河で皇帝の次に有名だと言われているプロフェッサーと呼ばれるその男と。
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