ある ベイグスの事情 3 (SF小説 メトロの住人)


「…またかよ」

作業エリアに出向いた俺はため息をついた。

早朝早々にトラブルだ。

搬入され続けている部品の山が重なり合って通路を塞いでいる。

機械ヤロウどもはそれなりにできるんだが、柔軟性がないのがEEだ。


搬入された巨大な交換用部品を運んでゆく仕事はできるんだが全体の流れや煩雑時の対処が今ひとつ。

これが知恵を持つサイバノイドならトラブルも減るのだろうが、高価なサイバノイドなんて代物はここには皆無で、いるのは融通のきかないヤロウばかり。

先ずはわめきちらしてる異常を示す警報を切り、つまりの原因の場所に俺は向かうことにした。


交換を必要とする動力パイプのストック場はそれなりのスペースはあり、それを運んでくるAI搭載型の貨物船もスペースが無くなり始めればコロニーに取り付くことをやめ周回軌道上に待機することになるが、肝心の各回路への通路は、特に余裕があるわけじゃない。

搬入と搬出ができるギリギリってとこだ。

しかも網目状に入り組んでるおかげで、交換を必要とする区画が近いとそれぞれの搬入と搬出が滞り始める。

多少の迂回や待ちは機械ヤロウどもでも判断はできるが、部品を運ぶ事が優先で予測なんてことができない頭でっかちどもには、そんなことは身に余っちまう。

取り敢えず混雑を増やすだけの追従の機械どもに迂回の支持を出し、大元の詰まりを取り除くことにした。


通路の分岐付近で挟まれている運搬機械ヤロウどもの行動システムのスイッチを次々と切ってゆく。

分岐点で部品に挟まれ完全にオシャカの一体を前肢の爪で引っ掛けて無理やりに取り除く。

いちいちメンテ専門のノーマルスタッフを呼んで重機による撤去作業なんてことをしていたら、メンテ作業の合間を縫ってのことだろうから明日の休みまでかかっちまう。

巨大な部品自体ならともかく搬送用の機械ヤロウぐらいの重量なら、ベイグスである俺にとって不可能のことじゃない。


報告はあげなきゃならないが前例もあり、メンテ係とはそれなりに付き合いも長いから問題はないだろう。

オシャカになっちまった奴もついでに搬送するように指示を出して、動ける奴らを起動し本来の搬入搬出の流れの指示を出す仕事に俺は戻ることにした。

本来ブルーな俺には不向きな仕事だが、経験の長さ的にそんなことを請け負っているのだ。

多少はハーフグリーンでのいろんな体験も役に立っているのだろう。

現場での対処、上への報告そんなことは、軍務では日常のことだったからだ。

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