ある ベイグスの事情 1 (SF小説 メトロの住人)




月刊Stella6・7月合併号参加作品




帝国において数は力じゃない。

いつの時もどこの場所でも力あるもの…そうノーマルの奴らが唱えるところの権力に従うものが力だ。


そいつを上手く使いこなす頭があるもの、そいつに逆らうことなく従順に従うもの、そいつそのものが力って奴だ。

種族の個体数では群体を除いててっぺんで、連なる仲間の数が多くても所詮俺たちベイグスは、その蔑称にふさわしく底の輩ってわけだ。

母星から離れた帝国の中心部じゃ、せいぜいブルーやよくてハーフグリーン、普通のホワイトなんて見たこともない。

そんなわけでこの俺もメトロと呼ばれるこの莫迦デカイ人工の巣穴でポーターなんてブルーな仕事を請け負っている。


俺たちの種族の特徴である怪力は、ノーマルの奴らが使う機械と同等でしかも安価だ。

メンテも要らなきゃ個体によるばらつきもない。

太古よりの闘争本能を少しばかり押さえれば、ブルーとして使うには上等なものだと見られてる。


帝国が固まりきれなかった頃なら、この闘争本能に従ってのグリーンってのもありだったが、平和って名前の不況が訪れてからは、母星があるインセクタの星系に帰るか、こうして肉体労働者ブルーとして居残るかしかなかった。

もう少し頭があれば、ステイツや公安になれたかもしれないが、所詮は傭兵部隊のハーフグリーン、こんなブルーがお似合いなのかもしれない。

数ある兄弟の中じゃ同じハーフグリーンの出でも故郷に帰ってそのまま星の軍部に従事する奴もいるが、俺はそれができなかった。

都会の魔力ってやつからもう逃れられなかったんだ。

例え最低のブルーに身をやつしたとしても。


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