真徒の企み 1  (ファンタジー小説 戦乱の時代)


草木もまばらな平原に向かい合う人々の群れはやがて合いまみえ、その姿を荒れ果てた原に次々と散らしていった。

離れた高台でひとり様子を望んでいた男は、それを眺めながら天に向かい両手をあげ一心に祈る。

平原の喧騒が静まった頃、男の足元に転がる生け贄に変化が訪れた。

それまで身動きもしなかったそれがのたうち回り始めたのだ。

虚ろで何も宿さなかった生贄の瞳は大きく開かれ全身を小刻みに震わせながらもがき続ける。

体色は黒ずみ、縛られているはずの手足はもげ、その代わりに異様な数の無数の触手が身体の側面に生え始める。

人頭を抱いたムカデのような姿を見下ろし男はため息まじりに首を振る。

生贄の姿がすっかりと黒一色に染まったのを確かめ、男は生け贄だったものに手をかざす。

そして生贄は高台にぽっかりと空いた奈落の穴にと飲み込まれてゆく。

「真理は遠い…更なる数の血が必要だ…」

そう呟いた男は、高台の上から音もなく姿を消していった。





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