久しぶりの帰還 1 (小説 浅ましき夢をみし)


姉ちゃんが寄った。

学校を卒業して直ぐにボクの前から姿を消した姉が顔を出したのは、珍しく仕事休みとなった日曜の事だ。


三つ違いの弟のボクからすれば、行動力の有り余っていた姉はとても眩しい存在で、優しい母からすれば常に心配の対象で、性格的に似ていると周りが云うだけのあの人からは、忌むべき存在のようだ。


自分の父親をあの人などと云うのは、変なのかもしれないけれど定職にも就かずバイトしか行かないあの人は、一般的にも心情的にも父親とは呼べそうにない。


そうだ姉の事だ。大好きな姉ちゃんのことだ。

あの人のことなどどうでもいい。


今年ようやく待望の社会人となれたボクからしてみれば、一足先にこの家から抜け出し新生活を自由に送っている姉ちゃんは、パイオニアであり勇気の象徴でありボクの救世主なのだ。

今までの暗い学生時代から、今の苦しい会社勤めに変わっただけのボクの、今後の人生の導として、何か助力が得られればいいなとボクは漠然と思ったのだった。

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