至宝の探索 20 (ファンタジー小説   シーフ 賊と呼ばれた男)


「シャル様、私になってみますか?」

少女の問い掛けにシャーラトンが頷く。


途端に変わるシャーラトンの内世界。

少女の視ている世界がシャーラトンにも流れ込む。


死角なく何処までも広がる視界、目の前の自身の姿は元より少女が向けてもいない左右の様子や背後まで同時に見渡せている。

焦点を合わすことなく全てを見通す高見からの視界を驚きと同時に当たり前と思えている自身が其処にいた。


そしてその自身の心内さえも少女の瞳は捉えている。

全てを視ながらも、少女を見つめている感覚は自身の視覚だろうか?。

同心複体としての自身を改めてシャーラトンは感じていた。


無限とも思われる力の奔流は砂竜としての己を表しており、少女の様相をとっているのは彼女の自身に対する思いの表れであることも今なら理解できる。

共有以上の同一感にシャーラトンは心が満たされていることにも気づく。


「愛おしい貴方様と交われた事が嬉しい…」

少女の思いと感覚と言葉がシャーラトンにも満ちてゆく。

それに応えるかのようにシャーラトンは再び自身に戻ったあと目の前の少女に近づき、立たせた彼女を優しく抱きしめていた。




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