至宝の探索 18 (ファンタジー小説   シーフ 賊と呼ばれた男)


館の自室で向かい合うシャーラトンと少女。

「君はデザートで間違いない?…だよね」

後にわかる複心同体の存在である彼女を感じ発した問いかけを納得の形で独り言のようにしめてしまうシャーラトン。

彼女は卓の上にそれぞれに置かれた茶を飲みながら笑みを返す。

その茶は、少女を伴って帰宅したシャーラトンに対し何故か感激したかのように迎えた使用人の手によるものだったが。


「おれ…ボクの言葉がわかるなら、できれば声にして返事をしてもらえないかな?」

「し、失礼しましたご主人様、気がつかなくて」

シャーラトンの言葉に恐縮したように答える少女。

その俯いた赤い顔に慌てて言葉を続けるシャーラトン。

「君の声で…君の声が聞きたかったからだよ」


それまで、シャーラトンが思ったこと全てに少女は内なる声で答えていたのだが、その事やその他の事柄について自身の耳で聞きたかったのだ。

それと内なる声に優しげに答えてくれるその思いの言の音を聞きたいと思ったのもたしかだったのだが。


シャーラトンのそのような思いの流れはわかっているはずなのだが、発した言葉は少女に絶大な効果をもたらした様だった。

複心同体で全てを分かち合えるとは言え、シャーラトンが耳にして確認したいとと思うことは少女にとって同じく、その思いと言葉を重ね受けることによってより深いものと感じられるようだった。

「ご主人様が望まれるように、これからは声でお答えしますね」

はにかむような赤い顔が恥ずかしけに語る。

シャーラトンは不覚にもその姿を可愛いものとして感じていた。

「…有り難うございます。…嬉しいです」

そんなシャーラトンの思いに応えるかのように少女が声に出して感謝をする。

これにはシャーラトンの方が顔を赤らめることとなった。


『旦那様にこのような幸せが訪れるとは…』

決まり悪くなり顔を背けたシャーラトンは、温かく見守りながら何故か感涙し佇む使用人の姿を目にしてしまった。

その心内のつぶやきを感じてしまうオマケつきで。




にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト