至宝の探索 16 (ファンタジー小説   シーフ 賊と呼ばれた男)


「そろそろ戻ってもいいですかね。ってゆうか戻れるんでしょうか…俺は」

シャーラトンは既に心の内を隠すこともなかった。目の前の漆黒で巨大な二つの輝きの前ではそんなことなど隠しきれないと開き直ったからである。


「もちろだよ」

「もちろんだとも」

その黒い輝きたちは大いに瞬く。

そのわざとらしい瞬きに、ため息の揺らぎを交えつつシャーラトンは揺らぐ。


「では、戻ってみます」


「うむ」

「頑張りたまえシャーラトン君。デザートによろしく」

その言葉に引き戻されるかのシャーラトン。

その内に疑問を抱きながら。


…デザート??
 あいつがどうかしたのか?

思いがけない自身の愛騎、騎獣の名を聞きその姿を思い浮かべる。

共に都市国家アルヘムより帰還したそれは、特に言うところもなかったはずだがと思い悩む。

いつものように従順で主人であるシャーラトンを煩わせることもなかった。

そんな思いの中シャーラトンは巻き戻される光の筋に引かれ、下位界に戻る。

彼自身は唯一の世界だと確信していたはずのその世界へ。


「…ごめんなさい…ご主人様」

そして彼は困り顔の少女と対面することとなった。

自身の容貌を兼ね備え、覚えのある雰囲気を持ち合わせたその少女に。


自らの手足を取り戻したシャーラトンはその目で見覚えのあるものを見出していた。


いつになく沈み込んだ雰囲気を醸し出すばかりの、

彼の愛騎を。




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