終焉を呼ぶ者 1(麗月の都 ラ・キューム)


かつて何もない虚空に、ふと現れし混沌が流れを刻み始める。

大いなるその流れは、止むことなく永久に刻まれ、永遠の闇を生み出し虚空界に重なり澱んでゆく。

静寂で平和なる闇たちは、それぞれの更なる世界を産み落とし繁栄を続けていたが、いつしかその初母なる混沌はその無情さ故に、聖なる静寂を脅かす歪みさえも芽生えさしていた。

その無限なる流れの刻みの中、その矮小なる歪みは僅かな輝きを用いて静寂なる闇の世界を徐々に汚すこととなったのだった。




「陛下、またかの者が謁見を願い出ております…」

凍てついた氷宮の静寂を壊すかのような思声が広まる。

「フォルムですか…」

その界の名を持つ女王である裸・ウンブラ・キュームは、その華麗なる面影を少しだけ沈ませそう問いかけた。


創世の語りで継がれし永久なる静寂の闇の苑と呼ばれたヘルン。

その唯一者を誑かし形あるものとして貶めた邪悪な輝きの名を持つ存在に、その平静な心を乱したからである。

…蛇者フォルム 唯一者ウンブラを汚した邪なる物 これも因縁であろうか

そう彼女は描いたのだった。

眼下に広がる凍りついた領地を感じながら彼女は、刹那のため息の揺らぎをおこし、久方ぶりに下賤なる形を象ることに決めたのであった。




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