至宝の探索 14 (ファンタジー小説   シーフ 賊と呼ばれた男)


真理に仕える使徒の一員であるジュセピはその深いフードを外し悩みの色を顕にしていた。

ただの賊と告げられていた男が古の盟約を逆手にし取引をもちかけてきたことに対してである。


かのような下賎なる者が盟約の縛りを匂わせたことだけにとどまらず、その心うちを曖昧にはぐらかし何も読ませなかった事からによる不安のせいもあった。

ジュセピが読み取れたものは、かの者の名と身分を示す一辺倒の物のみであり、そのような蛮国で広まる認証わけ程度の知識しか読めなかったことがかれの不安の大部分であったのだ。

このような事は有り得ないはずなのだと彼はまた考えに苛まれる。

王国でも第一級の使徒である自身に読めないなどとゆうことは、かの者が自身より上級の真理に到達してるとゆうことを示し、最後の真理つまり最も上級である現界の五元素の域に達しているとゆうことになる。

それはありえないことであり、許せないことででもある。

そこで彼は思いだす。

自身の使える真理の高位主の教えを。

かつて存在したあってはならぬ世界にかのような技術があったことを。

その位に囚われず全てを覆い隠す邪法が存在したことを。

その賊と呼ばれる下賎な営みの中であの男が失われた技術を宿した古物でも盗掘したのだと、考えが固まりがちな彼は思い込むこととした。

一心一体の世界の理の一部である人として扱える真理は同属性に限られており、火の属性の真理の道を極めようとするジュセピにとって俗事の探究の類は無縁のことであり、その授かりし力を王国の為に尽くすことが使徒である彼にとって存在意義でもあったからだ。


王国に舞い戻りその使える神殿にて掲示を賜れば不安を消すことも可能であろうが、今は彼にその選択はなく、あの下賎なるものに示された条件を国元に伝えその答えを待つしか他はなかった。

彼の持ちうる真理の力の術を使い、その答えの到着を待つしかジュセピには出来うることがなかったのである。

彼は不安を弄ぶことを終とし、それとともに生じたもうひとつの苛立ちのことに彼は思いめぐらすことにした。


そう、西の外れの不遜な国に連なる、あの忌々しい輩のことである




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