至宝の探索 10 (ファンタジー小説   シーフ 賊と呼ばれた男)


翌朝、亡名の森奥深くにひっそりと佇む館に依頼組合本部がある交易都市より帰還したシャーラトンは、忙しげに団の所要をこなす少女を見ることとなった。


奇しくも真のブラーと同じ顔をしたその少女は、漆黒の翼をその細やかな背にたたみブラーとは違う黒髪を束ね上げその黒い瞳に真剣な色を浮かべ、皮紙の束に目を通している。

その間にも謁見の者たちを相手に支持を告げ、本来の部屋の主ならば描けないほどの勤勉さで業務をこなしていた。


「お頭…」

前日の報告をすべく声をかけたシャーラトンはその姿に声を失った。


「ああ、シャーラトン様。ご主人様なら…上です」

その間抜けな様子に顔を向けることもなく少女は心内を先読みしたかのような返答を返す。


「君は、メジュ…、ジェイルなのか?」

「それならば此処に。真なる私はご覧のとおりご主人様の代わりを努めております」

シャーラトンの疑問に少女は部屋の片隅に丸まった半透明の不定形生物を指し示し応えた。

示されたそれは見ようによってはブラーの騎馬と同じものであり、応えた少女の持つ霊色はその騎馬の内包する色と同等であった。

「君の真容はそんな感じだったんだね」

「この器はご主人様のものでありますから、本来の同型とは多少違いますけどね」

「それで何の用でございますか?」


すると二人の会話を遮るようにと内話が心に響く。

『それならば、提示報告だと思うよ。忙しくさせちゃったジェイルに悪いから、シャーラント君はこっちに来て報告してくれないかなあ』

…えっ?

内心で驚いたシャーラトンに、手を休めることなく少女が話しかける。

「とゆうことですので、シャーラトン様お願いします」


どうゆうこと?といった様子のシャーラトンに先程と同じ場所を指し示す少女。

そこには先程から丸まった姿のまま蠢く不定形生物メジュースの隣にうずたかく積もった茶色の山があった。


その山は自立するように舞い上がり惚けたままのシャーラトンに纏わりつくと、その本質である真魂を押し出し、その髪の色と瞳の色を変え忙しげに仕事をこなす少女の傍らに膝末くこととなった。

長い尾までも茶に染めたその姿に少女が声をかける。

「それでは貴女にも手伝ってもらうことにいたします」

笑みをもって少女は、それまでシャーラトンであったはずの器に命じることにした。




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