至宝の探索 2 (ファンタジー小説   シーフ 賊と呼ばれた男)


ブラーがそもそも今回の依頼を受けたのは、表の顔としての盗賊団の頭領ではなく幾つかある裏稼業のうちのひとつであった。

各都市にある依頼組合の奥にある酒場にて声をかけられたのが始まりである。

「シーフのブラー殿ですか?」

そう見知らぬ男が声をかけてきた。

見る限りはにこやかな笑顔ではあったが、エイブの眼を通せば明らかに疑いを持っている様子だ。

「ええ、如何にも」

そんな人族の裏表を知り尽くしてるブラーはそのエイブの口を持ってさりげなく答える。

そして、

「同じ名を持つ同職がいるかもしれませんから、これを」

そう言って彼は懐から身分と功績を示す認証を渡す。


しげしげとそれを眺めた男は、ようやく心の内から笑顔を示し話を続けてきた。

「いや失礼を致しました。私はノウムと云うものですが主人より託されたある依頼をあなた様のような腕利きにお願いしたく此処にときたわけなのです」

ブラーは目の前の男に、心うち以外は別に失礼をされたとも思わなかったが、それを顔に描き出すこともなく大人しく聞くことにした。


「是非とも主人に会いその依頼を受けていただきたいのですが」

「では、その主人なる方に会うことにいたしましょうか?話を聞かない限りお答えできないのでなんとも言えないのですが」


エイブの耳をもって自身の都合を聞き及んでから、ごく普通にブラーは応えをかえす。


「では後ほど迎えの馬車を用意しますのでまた」

それだけ言い残すとノウムは酒場から出て行った。


何事かつぶやき退屈そうに座っているブラーのもとに、何人かの男たちが相席をもとめる。

向かいに座った二人連れは、ブラーを見向きもせずに会話をはじめ、隣の男はぼんやりと酒を飲むだけだったが。


「そうそうあれだな?」

「何の話だい?」

「うちの仕事場の頭の話しさ」

「それが?」

男たちを見ることもなくブラーがため息をつき手を見つめ独り言をつぶやく。

「…旨みがあればいいけれど」

その言葉は大声で話を続ける向かいの男たちの会話でかきけされるばかりのようだった。

「………そうなのか?」

「とにかくそんな調子さ」

「…その頭がそう思うならいいんじゃねえか?」

「俺もそう云う事だな」

「金の匂いがするんだろうぜ」

「なら、尚更だ」

たわいのない世間話はと切れもせずに続き、隣の男も手にした酒を飲んでは頷くばかり。

その中でブラーはまたため息をつき、約束を思い出したかのように席を立ち酒場をあとにした。




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