1 (擬似恋愛小説   何か)


「ボクは君が欲しいとと思っている…。言葉通りに君を抱きたいのだけれど…」


結局私はこのひとを受け入れてしまった。

そう、その要望どおりの言葉どおりに。


特に言うほど変わってもいなかった行為のあと、特に言うほど冷たくもなかったその手は、この人が持つ不安だろうか?そんないくつも抱え込んでいるらしいものから逃れるように、背後から私の決して厚くもない胸を掴んでいる。

まるで私と云う存在に縋るように。

互いを曝け出したベッドの上で、一枚の薄い毛布をおざなりにかけている形で。


この人…、彼が身動ぎをする。

「ん?少しは眠れたの?」

戸惑うように私を見つめる彼の視線に問いかけてみる。


「………、ああごめん寝ちゃったんだね」

情事の後の気だるさに負けて眠り付いた私たちに、ようやく思い立ったのか彼が言葉をかけてきた。

抱きしめられた形で眠り込んでしまった彼をただ眺めていた私は、そんな彼の無防備な姿を始めて目にすることで何かを感じていたのだけれど。


彼を受け入れてしまった事に多少の驚きを感じながらも、男と女だからそんなこともあると考えながら。

愛じゃなくて恋じゃなくて、違う何かでそんなこともあるんだなと感じながら。



彼は始めて会ってから饒舌だった。

まるで語らなければ自分と有存在が認められないかのように必死で言葉を絞り出しているかのようだった。

彼の紡ぎ出す、日々の言葉のように。


それほど人目を引かない容姿。

高くもない背丈、男っぽさも全てを許してしまった今でさえ未だに感じられない。


彼を知るほどに明らかになっていった移り気で我儘で勝手なところは、男とゆうよりも子供だろうか?。

それを否定するかのように語る姿は、背伸びしている子供のように私は感じることもあったのだけれど。


言うほど若くもない私よりも確実に年上の彼に、そんなことを言えば間違いなく怒るだろうけど。

いや、意外と諦めたように「やっぱり君もそう思うんだね」と寂しくつぶやくだけかもしれないが。


そんなところに惹かれたのかもしれない。



母性愛とは違う、

何か、

かもしれないけれど。




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