支配の力 (ファンタジー小説 世界 17)


「ん?どうした?大将軍さま。遠慮なんかするなよ」

「こりゃあ遠慮じゃねえだろう。身体の支配がまだ効いてるからじゃねえか?」

「言われてみれば忘れていたぜ、忘れっぽいのが俺のだめなとこだな」

「ああ、そうとも我ながら情けねえぜ」

「これな…」

同じ顔同じ姿の二人が向かい合って喋っている間、微動だにしなかったブラブリアだったが、身体の拘束が解けるのを感じた途端、迷うことなく片方の少女の首を撥ね、返す刀でもう片方の胸を深々と貫いた。

血しぶきを上げ転がり落ちた首とともに崩れ落ちる少女と、胸を貫かれそれを眺めたまま倒れ掛かる少女を見下ろしブラブリアは何か違和感を感じていた。

彼の持っていたはずの”同在”の祝福のマドは同時に存在する力であったが彼女の言っていた”ジュウザイ”なる力とはなんなのだろうと。

首を撥ねられるか心の臓を突かれれば、己でもその命と祝福を手放すことになるはずなのだがとおもいながら。


「”重罪”とは力を用いて幾重にも同じものが存在する事、この世界のことわりから大きく外れた罪深い力のことですわ、将軍さま」

食事の手を休め、向かい合った少女が微笑みながら応えた。

先程の光景、確かな手応えは、ブラブリアのもとから今にも消えてゆきそうだった。

事実夢のようにあやふやなそれらは、再び行儀よく食事を続けだした聖女の姿に打ち消されてゆく。

「お食事がお気にめさないのでしょうか?それとも他に何か?」

心配そうに少女が、固まってしまったままのブラブリアに声をかける。


「…聖女どの、…貴女はいったい?」

自分の信じていた世界に自信がなくなってしまったブラブリアが洩らすように呟く。


「わたくしですか?見ての通りの年端のいかない少女ですけど」

その僅かなつぶやきが聞こえたのであろうか、ペリッシュが再び食事の手を止め答える。


「聖宮の主である聖母ペリッシュであり、スラム出身のアバズレであり、そしてホコロビの一人”支配者”でもあります。周り全てのモノの心身や総てを支配し、己自身の身体までをも支配するわたくしに、もう一度挑んでみますか?」

微笑みながら言葉を続けた少女に、ブラブリアは納得がいったようにゆっくりと首を振った。




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