娼婦は何でも知っている(Rファンタジー)

戸惑いの風 2 (小説 娼婦は何でも知っている)

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その場違いな牝は、こともあろうか部屋にまで着いてきた。

歓迎されるべき上客の脇に手荷物のように侍りながら。

歓声よりは戸惑いの声だったかもしれない。

あの目端のきいた少女にとって変わろうとした他の華々は、一様に顔を背け尻込みをするかのように身を包み直し手近な手に手折られてゆく。

特に決まった相手も居らず思いに彷徨っていた私は、その困り顔の手荷物に裾を掴まれることとなった。

意外と館の思惑通りだったのかもしれない。

人でない私にとって特にそれは戸惑う事でもなく、色華でもあったドゥースは迷うことすらなくそれを受け入れることにしたのだ。

多分、館にとっては滅多にないことであり、そしてそれすらも気にもしない私はやはり普通とは違うのだろう。

それが誇れることなのか悔やまれる事なのか私自身には判断がつかなかったのだが。

上客である老齢の男は、興味深げに部屋を眺め回すその牝にいちいち説明をしているようだった。

私はそんな様子を戸惑うこともなく、普段は対でしかないあらゆる物を揃えるために使用人に支持をすることにした。

「何か飲み物でも…」私が上客にそんないつもどおりの問いかけをすれば、

「お前は何にする?」と、牝に問いただす。

「何があるか、聞いて貰える?」との牝の言葉に、

「何があるか教えてくれるかね」と、上客が問いただす。

そんなやり取りに私は、上客に直接お話しても大丈夫かとお願いすることにした。

上客は牝に機嫌を伺い牝の返事がもらえると、改めて私は直に牝に問いかけることとなった。

「お嬢様、何か癒すものをご用意しますか?」と。

「お嬢様でないけど、喉に爽やかな物がいいな」と牝が答える。

そんな様子に上客が口を挟む。「これは娘ではなく妻なのだ」と。

明らかに男の孫のような歳にしか見えないその若い牝が、男の伴侶なのだとわかった私は、

「失礼しました奥様、では島の果物を絞ったものをお持ち致します」と頭を下げることにした。

牝はといえば、「じゃあそれを二つ」と云う返事を返し、私など目に入らないような感じでまた男に聞いて回る。

私に戸惑いはないが男と牝の思惑が直ぐにはつかず、取り敢えず使用人のもとにとゆく。

先程のものを受け取り、承ったものを告げるために。

珍しく使用人が口を開いた。同伴の奥方の命も漏らさずに伺うようにと。

かくしてこの愚かなるドゥースは戸惑うことになる。

その男と牝にではなく、館のこのような思惑に。




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~ Comment ~

NoTitle

これは意外な展開でした。
妾とかかな?……と思ったら、まさかの。

ミステリー含みで話が進みそうですね。
続きお待ちしております。

今晩は~

この世界では 一夫多妻制なので お妾さんも 奥さんになりますねw

ミステリーは 無理ですww

ボクにはww
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