新たなる争い 9 (小説 輝石物語)

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Byフラメント

高い壁に囲まれたちょっとした広場に、十数人の兵士らしき若者が集まっていた。

その中にニヤついたソレルと呼ばれた男も混じっている。

説明を受け手合い用の模擬刀の束からそれぞれが選び出す。

退屈そうにカーロンは中でも一番小ぶりな剣を手にしていた。

「始め」手合いを仕切るらしき男の声が上がる。

向かいあった若者がおずおずと頭を下げる姿に、カーロンは欠伸をしながら眺めてるばかりだった。

「礼をしないか」再び声が上がる。

「はいはい」仕方なく深々と頭を下げるカーロン。

「行くぞー」

顔をあげると震える声で奇声をあげた若者が剣を振りかざして突っ込んできた。

体をかわし左手の短剣をなぎ払う。

隙だらけの脇を短剣で打ち抜かれた若ものがどおっと横に倒れ込んだ。

「駄目だ、次!」カーロンが叫ぶ。

「儀礼などいい!構わねえからどんどん来い!」

カーロンの勢いに仕切り役の男が困ったように壇上を見上げた。

「構いませぬ好きにさせなさい」

女王の声が響いた。

「で、では」

仕切り役の男は引っ込んでしまった。

「次だ次、いいからかっかって来い」

カーロンの声に次々と若者たちは向かってくるが、あるものは剣で打倒され、あるものは剣を払われ続々と倒されてゆく。

「残り四人の奴ら全員でかかってきても構わねえぜ」

四人のうちの三人が顔を見合わせてカーロンを囲む。

目で合図しあったのちに一斉に飛びかかってきたが、またもや目にも止まらぬ一閃にて三人とも打ち倒された。

最後の一人が対峙しようと向かいだしたとき、カーロンはそれを手で押しとどめ、振り返って壇上に向かって叫ぶ。

「ノーマン!退屈だろう!説明の苦手な俺に変わってこの莫迦どもにどこが駄目か教えてやってくれ、元兵士長だったよなオメエは」

「何を云うカーロンどの、それがしが小童どもを鍛えていたのは、もう五百数十年も前のこと」

「そう云うなよ、近くで見てろってことさ大トリをよ」

「なるほど、しからば」

古のアサシンはそう答えるとそのまま高い壇上から、ふわりと飛び降りた。

「大口叩くだけはある、この小僧だけは熱心に剣の重さと長さを確かめていたからな」

戦士が降り立ったアサシンに声かけた。

「そこから説明がいるのか…ぬるい世の中になったものだ」

「そうさ、そのへんのぶっ倒れてる奴らを片付けて、講釈しながらでも眺めていてくれ」

話が終わったかのを待っていたかのように、最後まで残っていたソレルが静かに歩み寄る。

立ち止まり頭を下げると、カーロンも同じく頭を下げた。

その瞬間に必殺の勢いの剣が打ち込まれた。

カーロンが首を振りなんなく剣で受け止める。

「こうでなくっちゃな、先ずは合格だ」

カーロンの言葉を待たずに、無言の剣戟が次々と打ち込まれる。

「なかなかいいぞ」

相変わらず喋ったままで、時にかわし時に払いながら剣戟を受け止めるカーロン。

「太刀筋はいいが、上品すぎるなおめえの剣は、人は切れてもオークの硬い首は取れやしないぜ」

カーロンの挑発に、剣戟の重さがました。

「やれば出来るじゃねえか、少しは相手をしてやろう」

カーロンは次々と襲いかかる刃を受け流しながら、器用にも短剣を利き手にと持ちかえた。

相変わらずの鋭い剣さばきに、体さばきが加わる。

その全てを受け流しながら、カーロンは喋り続ける。

「しかし、てめえの剣はお上品すぎる、まるであの小僧のようだぜ」

そう言ったカーロンは、ただ受け流すのをやめソレルの剣を弾き飛ばした。

突き出された剣を目の前にして、ソレルが無念そうに声を漏らす。

「参りました…」


不意に笑い出したカーロンが可笑しそうに告げる。

「そんなとこも、あの小僧と似てるな。その顔はまだ負けてねえってツラだぜ、なんならオメエの得意なやつでやってもいいぜ、仕切り直しで」

カーロンが突きつけた短剣をおろした。

「では」

ソレルがもう一度模擬刀の束に手をかけた。両方の手にそれぞれ剣を握り締めて。

「オメエもアレを使うのか?ますます小僧と一緒だな、しょうがねえから相手をしてやるよあの小僧の時と同じく何度でも」

そう言いながらカーロンも短剣を捨て、他の剣を持ち直す。束の中で一番長くて一番重い剣に。

「でやあぁぁ」吠えながら襲いかかるソレル。

上下左右に打ち込まれる剣をカーロンは受け、更に打ち込みかえす。

「それさ、その顔つきでないとな、小僧みたいに」

手を休めることもなく喋り続けるカーロン。

「小僧、小僧といったい誰のことだ貴様!」

憤怒の形相でソレルの剣が閃く。

「ほら、ここだ。ここが甘い」なんなく受け止めるカーロン。

「その太刀筋のあとはこうやって続けるんだよ」

立て続けに打ち込まれる剣のあとそう言いながらカーロンは、片方の剣を打ち払い片方を受け止めた格好で蹴りをソレルの腹部に入れた。

倒れ込んだソレルの顔の横に剣を突き立てて言い放つ。

「あの小僧とはポリテシアンの小僧さ、それに二刀流を最初に教えたのもこの俺さ」

驚いた顔で見上げたソレルは、カーロンに向かってつぶやいた。

「完敗です…今日のところは、またお願いできるでしょうかカーロンどの」

にっこりと笑いながら手を差し伸べるカーロン。

「もちろんだとも、それに、おめえは筋がいいあの泣き虫小僧よりも」

「ありがたき言葉、またお願いいたします」

「ソレルとか言ったなこれから世話になるぜ」

息を呑んで見守っていた観衆が、思い出したかのように歓声を上げ始めていた。



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Comments 2

椿  

NoTitle

このシリーズも、スケールが大きく、全体像が気になります。

小説ブログの方も拝見してきましたが、原初から現在?まで、かなり壮大な物語ですね。

2014/09/14 (Sun) 11:31 | EDIT | REPLY |   

フラメント  

椿さんお早う御座います


このお話が 最初に作ったものなのですが

それまでの 経緯や説明を お話として書く事にしたら

広がっちゃいました^^

2014/09/15 (Mon) 05:13 | EDIT | REPLY |   

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