よろず何でも相談社

女王星 1 (小説 よろず何でも相談社)

 ←体内虫 5 (小説 よろず何でも相談社) →ドゥースの惑乱  13 (小説 娼婦は何でも知っている)
月末にしては珍しく休暇となった今朝、私は銀座のカフェーに来ていた。

女学校時代の友人に会うためである。

あの頃は共に職業婦人などを夢見て将来を語り合っていたのだが。


店の片隅の席に座りコーヒーを頼む。

「どうぞ…」

殿方目当てなのだろうか、巷で噂のカフェーの女給はそっけない感じだった。

「お待たせえ」

「ひさしぶりだわね」

懐かしい声が店の中に響く。

物珍しい女性客の更なる来店に店の中が少しざわついている。

そんな雰囲気をものともせずに懐かしい声は私を囲むように席についた。

声と裏腹に席に着いた彼女たちはすっかりと様相が変わっていた。

あの頃と変わらず、夢から覚めることのできない私と違って。

それぞれに思い思いの飲み物を頼んだ彼女たちに向かい、私は懐かしさを隠せずに話し始める。

「貴女たちがそんなにも早く、婚儀を受けるとは思ってなかったわ」

私の声にそれぞれに返事が返る。

「やっぱり婦女子たるものは、伴侶をもつことが最終の夢なのですから」

「そうですわね、ゆりこも大木婦人のように一生の伴侶を職場でみつけることはないの?」

帝都新聞社の重役婦人である、光子の言葉に、陸軍の士官のもとへ嫁いだ石田澄子が相槌をうつ。

「そんなこと言われても、うちは零細で私以外は社長だけで…」

「あら、社長夫人でいいじゃない」

「そうですわ、ゆりこは玉の輿で」

「社長の万事屋は歳も多いし、お子様がいるとか…」

「でも、独り身なんでしょ?」

「婦人の幸せはそれですから」

すっかり変わってしまった二人に、私は直ぐには答えを返すことができなかった。
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛小説
もくじ  3kaku_s_L.png 援交記
総もくじ  3kaku_s_L.png 詩・散文
総もくじ  3kaku_s_L.png ファンタジー 魔導人形シリーズ
総もくじ  3kaku_s_L.png ファンタジー 輝石シリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png 遷都物語
もくじ  3kaku_s_L.png ジェノサイダー
もくじ  3kaku_s_L.png ミンストレル
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png 砂(小説)
もくじ  3kaku_s_L.png 小説 終春
もくじ  3kaku_s_L.png カウンセラー
もくじ  3kaku_s_L.png 挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 真夏の幻影
もくじ  3kaku_s_L.png 故郷
もくじ  3kaku_s_L.png 陽炎のように
もくじ  3kaku_s_L.png 魚人の街
もくじ  3kaku_s_L.png プチーツァ
もくじ  3kaku_s_L.png 戦乱の時代
もくじ  3kaku_s_L.png 世界
もくじ  3kaku_s_L.png イケメン彼女
もくじ  3kaku_s_L.png 原罪
もくじ  3kaku_s_L.png 転生
もくじ  3kaku_s_L.png 記憶
もくじ  3kaku_s_L.png 小説  GENZI
もくじ  3kaku_s_L.png ジゴロ
もくじ  3kaku_s_L.png 小説 エセエス
もくじ  3kaku_s_L.png 小説 思い出
もくじ  3kaku_s_L.png 詩人の愛
もくじ  3kaku_s_L.png 小説 ブロガー
もくじ  3kaku_s_L.png 好きなもの
もくじ  3kaku_s_L.png アバーブ
もくじ  3kaku_s_L.png 地上にて
もくじ  3kaku_s_L.png Dragon's woes
  • 【体内虫 5 (小説 よろず何でも相談社)】へ
  • 【ドゥースの惑乱  13 (小説 娼婦は何でも知っている)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【体内虫 5 (小説 よろず何でも相談社)】へ
  • 【ドゥースの惑乱  13 (小説 娼婦は何でも知っている)】へ