自らを慰めながら


気が付けばアノヒトについて、想いを寄せている自分がゆみの中にあった。

熱い湿りを帯びた思いの果てを、自らの指で確かめて促し慰め続けるゆみがいた。

アノヒトのねっとりた言葉と唇の感触。

アノヒトの容赦ない意地悪な指の動き。

それらを思い出し、ぎごちない稚拙さで真似てみながら。


寂しさと切なさと同じくらいの気持ちよさに浸り、声が上がるのも構わず慰め続けるゆみ。


もう一度会いたい。

もう一度甚振られたい。

いや、できることなら何度でも。


寂しく喘ぎ。

切なく喘ぎ。

自らの慰みで歓喜の喘ぎを漏らすゆみ。

優しさだけの物足りない夫のいない昼間。

カーテンを締め切った独りきりの寝室。

今までは考え付きもしなかった露な格好で、恥ずかしげもなく名乗っていた名を呼ぶ。

そんな中、いたずらなまでに指を汚し続けるゆみ。

自らの汗と垂れ流したむせる匂いにつつまれたまま、一心不乱に喘ぎ続ける。


恋に恋する少女のように切ない気持ちを伴いながら。

夢だけ追い続ける少年のように虚しく何かを求めながら。

ゆみは、自らの指に身体を委ね続ける。


果てることもないもどかしい快楽に涙しながら。

今もなお。


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