娼婦は何でも知っている(Rファンタジー)

ドゥースの惑乱  2 (小説 娼婦は何でも知っている)

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館の客とは明らかに違うその若者は、強引に手を引く私に逆らうこともなく部屋までついて来てくれた。

「えっ?」

案内された部屋の寝台に取り敢えず腰を下ろした若者は、部屋をみまわし声をあげた。

「何か?冷たいものでもお持ちしますか?……」

私はそんな若者の様子に気づきながらも、いつものように飲み物を聞いてみた。

そして何故かこの若者を、ご主人様と呼ぶのをためらってしまっていた。


「………、あっ、ボクはアレン、名はアレンと言います。まだ名乗ってもいなかったね」

怪訝そうに部屋中を見回す若者は、私の問いかけに我に返り、言葉が途切れた訳に気づいてそう答えてくれた。

「では、アレン様、お飲み物は何がよろしいですか」

若者を見つめ再び問いかける私。

「様はいいよ、アレンだけで構わない…特にないけど、あの君が庭で飲んでいたものと同じものが用意できる?」

「あれは、ただの香り茶でございますので、お酒も色々と揃ってますけど、アレン様」

「ああ構わないよそれで、…それと様はいらないと言っただろう」

そう言った若者の言葉に私は、滅多にしないお願いを知らぬ間に口にしていた。

「ならばアレン様、私の事もカメリアと呼んでくださいますか?」

「うん、そうするよ。なんなら、き…カメリア、キミも一緒に。良かったら二人でそれを飲まないか?カメリアと色々と話がしたいんだ」

「かしこまりました…カレン。では二人分お作りしますね」

そう告げた私は、これまた滅多にない優しい笑顔を浮かべているだろう自分に気づいていた。

普段の客とは毛色の違うこの優しげな若者に、ある種の期待を感じたせいもあったのかもしれない。




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~ Comment ~

NoTitle

お客さんが優しい……。この前の人が凄かっただけに和みますね。
カメリアもちょっとほだされてるみたいですが、お話がどう転んでいくのか気になります。

こんばんは~

ご心配なく^^

ボクが書くお話なので

ラブストーリーなどにはなりませんから( ̄ー ̄)ニヤリ
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