「恋愛小説」
蒼き日々の情景(私小説)

指名  (私小説 蒼き日々の情景)

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「確か今日は、公休じゃなかったよな」

店に向かうタクシーの中、和也はひとりつぶやいた。

指名の利く店ではあったが、いつも何か名前をゆうのをためらって指名をつげることがなかった。

ただ、待つ事や他の姉妹店に回されるのがいやで、和也は予約だけ入れてタクシーに乗り込むことにしていた。


三十分ほどゆられると、なじみの入口にとたどりつく。

入り口で予約の名を告げ、狭い待合でまっていると人の来る気配がした。

「いけだ様、お待たせいたしました」

店員の男の声で席を立ち、和也は部屋へと続く廊下に出る。


「いらっしゃいませ、あけみです。ご来店ありがとうございます」

控えていた顔が、和也をみあげた。

えーこではなく、あけみだった。

いつもならえーこのはからいで店に自分が予約を入れると、空いてる時間ならばえーこがくる。

そうでなければ待てるかどうか聞かれるのだが、すぐ呼ばれてあけみが来たとゆうことは、どうやら休みの日だったらしい。


「えーこなら、今日は休みよ」

部屋までの案内の間、あけみは憮然とした声で和也に告げた。

どうやら顔に出ていたようだ。

「ああ、そうなんだ。でも別にそうゆうつもりでもないから」

なるべく顔に表さないようぶっきらぼうに和也はこたえる。

「嘘ばっかり」

さらに怒ったように告げられた。

「いや、嘘じゃないけどね。ただ少し残念なだけさ」

今度は正直に和也はこたえたが、あけみはそっぽを向いている。


用意された部屋に入るとあけみは支度もしないで、さらに和也を問い詰める。

「ねえカズちゃん、えーこのどこがいいの?私じゃ駄目なの?もとホステスの私のほうがずっと綺麗だし、この世界でも長いからえーこよりも楽しませることができると思うんだけど」

…そうゆうとこ 嫌いなんだけど

和也は思った。

「あんな地味なこのどこがいいのかしら」

あけみはぼやきながら、それでもこの店のサービスのための支度を始める。

湯船をため、立てかけたマットを敷きその横の独特な形の椅子に和也を導く。

あけみは和也の股間や身体を洗う間にも喋り続けるばかりだった。

「ねえ、カズちゃん。お店にくる時は私を指名してくれないかな?そうすればしつこいオヤジの相手なんかも減るんだけど。カズちゃんだったら変なことさせろとかむり言わないし、歳の割りに何度も求めたりしないじゃん」

暫く無言だった和也が口を開く。

「別に指名とか面倒だから…エーコさんでさえ指名した事なんかないしね」

和也は応えたが、『えーこさんだったら二回でも三回でもやれるけど』の一言を声に出すのはやめておいた。

「それじゃあ、湯船にはいろうか」

あけみは和也を洗い終え、簡単に自分も洗うと先にお湯につかり始める。

別に決まりがあるわけではないが、洗い方もお座成りでマット洗いさえもパスしてしまうあけみに、和也は呆れるばかりであった。

えーこさんだったらサービス満点で、時にはマットでイカしてくれたりもするのにとも思う和也。


湯船の中では、それでも口での奉仕はしてくれるのだが、あけみのソレは愚痴をこぼしながらである。

「この間お店の新年会があったんだけど、お金を出すのは女の子ばかりでさあ社員は一銭も出さないのよ。ほんと頭きちゃう!」

そのうちに口でのサービスははそっちのけで愚痴ばかりになってしまった。

…愚痴を聞くためにお金を出すのは叶わないや 

和也は思う。

「あとはべっどで」

あけみは腹が収まったのか時間をきにしているのかそう言って先に出てしまう。

確かに格安で時間も短い店ではあったが、こうゆう所もえーこさんとは違っているとかんじるばかり。

和也が仕方なく自分で身体を拭いているあいだ、呆れたことにあけみは、またお酒を飲み始めたようである。

「ねえぇカズちゃんもさあ飲みなよ?」

間延びしたあけみの言葉に、和也は首を横にふる。

「ならあ、コーラでいいよね。タバコは何?」

「マルボロ」

それだけ言って和也も諦めたようにベッドに向かう。

「時間もないから始めようか?私が上でもいい?」

あけみはそう言うと、答えもなく仰向けになった和也に跨ってきた。

そして和也のものを自分に導き腰を下ろすと、ゆっくりと腰をゆらしはじめてゆく。

快感を求めるように下のへヤーが切れるほど、身勝手に擦りつけ弧を描いては喘ぐあけみ。

「どう?カズちゃん、気持ちいいでしょ」

和也はあけみ越しに天井だけを見つめながら褪めた眼で一言だけ答えた。

「ああ、そうだね」

心の中でイキそうにもならないシラけた自分を嘲笑いながら、今度はちゃんと指名を入れることにしようかなと思いながら。

あけみはそんな和也の思いも知らないかのように、時間の来るまで自分本位にただ腰をゆすり続けるばかりだった。




新年会の件は ちゃんと聞いたホントの話で そんなものかと相槌を打った覚えがあります

あけみと云う源氏名ではなかったですけど 数多く通った女の子の中には

アル中気味の子もいました

サービス料は女の子の取り分で それを払わなかったり返されしたことは

僅かですがあります 

年上の姉さんに 惚れた加減かはどうか そのときは聞くこともできず

ちょっとやばいかなと 暫くその店に行かなくなたことも

今では良い??思い出の一つです


和也
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