新たなる争い 6 (小説 輝石物語)

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Byフラメント

翌朝、酒場の片隅でカーロンが早めの朝食をとっていると少女が現れた。

「相変わらず早起きじゃの」

隣の席に当然のように着いた少女が告げる。

「不死の戦士は不眠症なのさ」珍しく機嫌が良い返事が返ってきた。

「それにしても、よくも朝早くからそんなにも食べれるものじゃ」

「小鳥とは胃袋のできが違うからな、戦士は食えるときに食っとかねえと」

少女の言葉を戦士は気にすることもなく、骨付き肉にかぶりついた品のない姿のまま答えてゆく。


「親父、ワシには酒じゃ」

呆れ顔の少女は,奥へ向かって声を上げた。

「朝から呑んじまうオメエの方が驚きものだぜ」

「少食の小鳥でも喉は乾くもの」

テーブルいっぱいに並べられた樽のようなジョッキを次々と飲み干しながら少女がこたえる。

「ほざくなよ、てめえの身体がそのまま沈んじまうほど呑みやがって」

食べ物を口にしたままの戦士は、もごもごとつぶやいた。


「変わんねえな、お前たち。そうしていると、夫婦のようだぜ」

いそいそとお代わりのジョッキを運びながら親父が笑う。

「違う」「違う…」

二人同時に声を上げた。

「ただし………」

「つい先日まではそうであったが…」

「なんだって?」

少女の言葉に驚いた戦士は、口にしていたものを吹き出し素っ頓狂な声を上げてしまった。



「初めにも言ったがのお、次元のハザマにて霧散した主の肉体を呼び戻し繋ぎ合わせるのに三百年、人並みの生活に戻せるまで百年の余。それからの七十年間は、退行し眠り付いた主の言霊は目覚めることもなく成長し平凡な人生を歩むばかりじゃった」

「その間わしはずっと主のため、はじめは母として後に妻として主の世話を続けていたのじゃ。無論、寝起きは共にし昼間もむろん夜も妻としての勤めを健気に毎夜果たしていた」

「わかった!もう言うな!犬に噛まれちまったと思うことにする…」

「犬ではないぞ、わしは鳥じゃ、それに農夫であった主は意外にも優しく毎晩わしを…」

「俺が悪かった、もう言わないでくれ…」

青い顔になった戦士は、もう何も喉には通らない様子になった。

酒場の親父でもあるノーマンは二人の会話を笑いながら聞くばかりで、和やかな朝は変わりようがなく続くかと思えていた。

「ところで、お二人さん。今日の予定はどんなものだい?」

「そうじゃな、多分そろそろ女王か枢機卿よりの使いが来る頃じゃろう」

酒場の片隅にいつのまにか迷い込んだ猫をちらりと見ながら、少女は親父の言葉に応えた。

「見たこともない女王なんかに用はねえ、俺はリンクスの野郎に用がある」

気を取り直した戦士が吠える。

「見たことはあるぞカル、わしと違って主好みじゃ女王は」

「ルナン、てめえまたいい加減なことを」


「ああ、言われてみれば確かに」

親父の言葉が終わらないうちに、安酒場には似合わぬ一団が躍り込んできた。

「御仁、猊下より謁見の命がくだりました」

「うむ、数刻のち参上いたす。で、場所は?」

「宮廷内の謁見の間にて」

「承知した、連れも同伴でかまわぬじゃろうな」

「もとよりそのつもりで」

少女は呆気にとられるばかりの男たちを取り残し会話をすすめ使いの最後の言葉に頷いたあと、何か言いたげな戦士に目を向けた。




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今晩は 再掲載ではありますが 多少の手直しも加えております

全体の雰囲気が変わらぬよう 気をつけてはおりますが

未熟者ゆえ そのへんは お手柔らかにコメントをw


いちごはニガテ
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