ベアルドナルドラ物語(ファンタジー)

王都会議  5  (小説 ベアルドナルドラ物語)

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初めての会議を終えた王宮の広間は先ほどと変わり、和やかなざわめきに満ちていた。

その中で、この暫しの休息のあとの主な行事である軍事会議に向け数人と打ち合わせをしていたベアードのもとにひとりの男が話しかける。

「ベアードどの、実はこの時間の間に広間の外へと出たいのだが」

国務次官補佐のクラウドと云う男であった。

「これはクラウドどの失礼した、で、如何なる用事で?」

珍しく笑顔を作りベアードがさり気なく聞き返す。

「いや、大した用ではござらぬが少し国もとに用事を残しており、大臣にはお話をしていたのだがどうやら会議は続くようでおまけに広間の扉が開かぬので…」

「ああ、それはすまぬことを致した。冒頭に申した通り、今この広間は真界にと存在している。本来ならば、精霊妖魔などが自由に闊歩する空間なのだが、会議の進行も考え少しばかり結界を張らせていただいているところだ。その具合で扉も自由には使えないようにしておる。俺の手の物を使いクラウドどのの要望が通るように致そう」

「いや…別に…将軍どののお手を煩わせる訳にもいきませぬ。ただ、それがしは此処から出ることさえできれば…」

「別にたいしたことではない、そう遠慮なされずに、…ただこの結界を通り抜け末界つまり普段の世界に帰る折…」

「折…?」

少しばかり不安げな面持ちで、言葉を促す男。


「…その折に万が一にでもクラウドどのが妖魔にでも喰われたりしたのであれば、俺としても心が痛む」

「妖魔の奴らは…大概俺の三倍程の大きさはあるからな」

そう脅かしたベアードの言葉に男は震え上がり、素直に送ってもらうことを了承した。


「おい!シャンダル!クラウドどのを是非とも無事に末界へとお送りしろ」

「はい、将軍閣下。この妖魔殺しのシャンダルめが命にかえてもクラウドどのをお守り致す」

芝居めいた仕草と慇懃さをともない副官は、ベアードに膝まづいて答えた。

「で、では、お願いいたす…」

しどろもどろのクラウドを連れて広間の隅に二人が移り、その姿が広間の外へ結界の外へと出たのを見計らって、ベアードが大きな声をあげた。

「懸念した案件が判明したところで、本案について改めて会議を開きたく思う。皆には席に戻り今回の真の会議について多くの議論を交わして頂きたい」

つかの間のざわめきは静まり、広間には打って変わった緊張の沈黙が広まり始めた。


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