ベアルドナルドラ物語(ファンタジー)

神の子 1 (小説 ベアルドナルドラ物語)

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イースタンエンパイアの城下町、辺りを気にしながら歩く二人連れがいた。

もっとも辺りを見回していたのはその内の一人だけだったのだが。

「こんなとこ頃まで、何も俺たちが来なくてもいいだろう?ベアード」

「商人ビードだ、シャル、それに初めは俺一人だった筈だ」

「それは、お前一人をこんな所にこさせるわけにはいかないからな、副官の俺としては」

身分を隠し商人にまでなりすました二人連れは、ベアードとシャンダルであった。

「こんな帝国の内部だからこそ、何があっても大丈夫なように俺が、俺たちが来ているのだ」

「もう既に帝国に歯向かう勢力など我が国以外に他になく、魔動王、きゃつの魔の手は他に向けるところなどないからな、より詳しい内部の情報をつかむことが我が国我らが民のために重要だ」

「そんなことは、神官連中にやらせておけばいいじゃないか、何も将軍のお前自ら出向かなくても。それにここ何年かは新たな派兵ももないと聞いてるぞ」

「だからこそ、その沈黙の意味合いを調べなければならぬのだ。このお膝元で召喚士連中の目が厳しい場所で、ぬけぬけと情報を探り、やすやすと異界に逃げることのできる人材が俺の他にいるか?」

「…それはそうだが、たとえば祭祀長どのや国務大臣でも可能だろう?」

「シャンダル、もう警備隊のころの我々ではないのだぞ」

懐かしくも呆れた顔でベアードが笑う。

「煩雑な責務をこなすトール殿やゲルに任せるわけにはいかぬだろ?未だ、決まった仕事がなく暇を持て余した俺が適任と云う訳だ、陛下の署名も頂いておるしな」

「暇を持て余すなど…我が国の平安はお前の日々の努力で培わされているからじゃないかベアード、そういえば陛下の署名は確か、お前がいつも代筆してるのじゃなかったか?」

「ああ、そうだとも、陛下も忙しい身であるからな」

「…」

ぬけぬけと答えるベアードにシャンダルは返事が返せないようであった。


その時、通りの陰から大きな物音と噴煙が上がった。

「何かの攻撃か?」

「爆発のような感じではあったが」

二人は顔を引き締め、備えるかのように辺りに注意を払う。


「おおい!いたぞ!」

「あそこだ!皆急げ!」

多くの叫び声が上がる。

「あまり、騒ぎに巻き込まれたくないものだが…」

そうつぶやいたベアードに、建物の影から飛び込んできた小さなものがぶつかってきた。

「ごめんよ、おじさん、悪い奴らに追われてるんだ」

まだ、幼い少年であった。


「いたぞ!こっちだ」

「応援も呼ぶのだ!」

追いかけてくる大勢のものは、召喚師達であった。

「ひとまずこの場を、この小僧も連れてくのか?」

シャンダルが目配せをする。

「やむおえぬだろう、先ずはこの場を」

それに素早く応えるベアード。

そうして二人は少年を連れたまま、真界へと位相した。


空気の変わる感覚、周りの景色は微妙に絵空ごとのように移ろい始める。

「わあ、すごいや此処は真界だね?ここからじゃあいつらに当たらないかなあ?」

少年が手をかざし、幻のごとくな存在に成り下がった召喚士立ちに向けて何かを放った。

先程と同じ噴煙が立ち上り吹き飛ばされる召喚士たち。

無音のそれは、悪い夢のように思えた。

「お主、お前はいったい…」

驚きを抱きながらベアードが問いただす。

「何?おじさん、名前ならバンズ。神の子と周りは言ってるけどね」

妖魔のような無邪気な微笑みで少年は応えを返した。




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ベアードとバンズの出会いのお話です

時空列としては デュアルとベアードの決戦の少し位前になります

色んな時間のお話が 入り乱れたまま放置されてますが

長い目で長い目で見守ってください


いちごはニガテ
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