新たなる争い 2 (小説 輝石物語)

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Byフラメント

「俺様の剣はどこだ?鎧は?それに此処は何処でいつの時代だ?答えがなきゃルナン、てめぇの首をひっこぬくぞ!!」

カーロンは一気にまくし立てた。

「まあ落ち着けよカル、主のカラッポの頭でもわかるように順番に説明するからの」

怒れる戦士を目の前にしながら、小柄な少女は怯えることもなくしれっと応えた。

「そもそも、わしの首など引き抜いても無駄な事は百も承知じゃろ?」

「マイスィート・カルよ」

怒りに燃えるカーロンを見上げ、少女は慌てる様子もなく告げる。

「てめぇ!もう一度その呼び方をしやがったら、二度と生えてこなくなるまでその首を何千回でもひっこ抜いてくれる!」

戦士の怒りの怒号にも、少女はただ笑い声をあげるばかりだった。

「何千でも何万でもやってみるが良い、わしの首は無限に生え変わるだけじゃ」

「この化け物めが!」

「化け物はどっちじゃ?呪われし終わりなき戦士よ。主ならば、たとえ悠久なる時が潰えても永劫に血の海と死体の山を築きながら戦い続ける事じゃろう、あの忌まわしきパイオニアウォーの時のようにな」

会話に疲れたのか少女は座りなおし話を続ける。


「てめえ、答える気がねえな!」

カーロンは構わず少女にと近づき、問答無用とばかりに乱暴に髪を掴みその細首を引きむしった。

だが面妖にも、あっさりと毟り取られたはずの首は、戦士の手にぶらさがったまま何事もなかったように笑いながら喋り続ける。

「主の武器と防具は双子共の介入の時に、まさに主が神隠しに囚われた時に、次元のハザマで消え去ってしまったのじゃよ。このわしでさえ、主の身体と言霊をこの世界に戻すのが精一杯じゃった。それでも、三百年ばかりの月日を費やしたのだがの。呪われし不死身の身体ゆえ戻せたのかもしれんが」

「それじゃあなにか?俺様の相棒Sword of the Undead <亡者のつるぎ>とArmor of the Dead <死霊の鎧>はなくなっちまったのか!戦士がこんな農夫の格好でどうすると言うんだ…」

いつのまにか少女の首は戦士の手から消え、代わりに座り込んだままの少女に新しい異様な首が生えていた。

その首は先程の紫の鳥の頭を大きくした不気味なものであった。

続けて耳障りな声が嘴から漏れる。

「その農夫の着衣Clothing of fool <愚者の衣>はかつての主の鎧の半分ほどの耐久力しかないがの、対魔道は倍ほどあるのじゃ、そして加力は三倍、つまり常人の倍以上ある主の腕力なら小指で小娘の身体を引きちぎれるのだぞ」

「じゃあ、そうしてやろうか!」

「しかし主のつるぎ以上の破壊力と邪力を秘めた剣は、この世界この次元には未だ存在してはないのじゃ、代わりにとっておきの武器として足元の鎖Chain of God sealed <封神の鎖>を遣わそう、それならばあの双子神ベルン・ベルナ共に捕らえる事もできようぞ」

応える間にも鳥の顔は少女のそれに変化してゆく。

「まぁいい、てめえがそこまで言うなら嘘はないんだろう…」

少しだけ落ち着きを取り戻し狂戦士はゆっくりと応える。

「それで…此処は何処の何時だ?」

「無限の時に弄ばれる主にはあまり意味がないと思うが…」

「この地は大陸中央部に栄えるキングダム・ポリティシャン、ざっと半世紀は経っておる。双子の介入で断ち切れたパイオニアウォーの幕切れのときからな」

「ポリティシャン?あの泣き虫小僧のポルの国なのか?」

カーロンの声は驚きの色をともなって周囲に響き渡った。
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