「ファンタジー 輝石シリーズ」
泣き虫王子と三つの輝石(改訂版)

それぞれの輝石 1

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「所詮ボクには無理なんだ、英雄と呼ばれた父様のようになるには」

今朝も組手の練習でアザだらけになった少年は、部屋にもどるなり倒れこんだまま泣き言をあげた。

「ポル様…そんなことでは乱世の覇者にはなれませぬぞ」

庭で組手の相手をしていた衛兵の一人を宿舎へと下がらせたあと、痩身の黒衣の司祭が戒めた。

「別にかまやしないさ、ボクには父様の血が流れてないんだ、優しかった母様の血ばかりで」

ますますいじけたように少年の泣き言は続く。


「やれいつもの事ではあるが実に困った事じゃのう、このままでは主の予言も陰りが出るとゆうものじゃ」

紫色の外套を羽織った少女がかぶりをふるった。


「今のままでは、やはり…」

「やはりかのう…」

「………」

二人と少年はそれぞれの思いに身を沈め、押し黙ってしまった。


小さな城砦の広くもない庭には、先程までの喧騒は消え小鳥のさえずりだけが響いている。

春と呼ばれる新たな季節は、まだ綻び始めたばかりであった。


「…うんうん、お前たちの囀りのとおりかもしれんのう、気は進まぬがあやつが揃わないと動き出さぬとゆうことじゃろうか」

小鳥のさえずりに答えるかのように少女がぼやいた。

「あやつは今頃、何をしておるのじゃろう」

紫に染められた外套をひるがえし少女が黒衣の男を見やった。

「きゃつは多分今も尚、なびく草むらを赤い血で染め抜いていることだろう、時さえ満ちれば何れ此処に…」

男の応えも珍しく曖昧だった。

「あやつの輝石の輝きは、そなたのめしいた全てを見透かす瞳をも曇らすか…」

少女は窓にと再び目を向ける。

ため息ばかりついている少年を背中越しに、小鳥に答えを問いかけるばかりであった。




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双子の神 の 始まりの物語です


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