放浪の戦士  再会 9

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Byフラメント

先回りをし灯される明かりを案内に、幾つもの角を曲がり幾つもの階をベアードは進んでゆく。

建物の奥深く最も高い場所にある扉の前でおもむろに灯火は消えた。

「この中か…」

呟いたベアードの前で扉が音もなく開いてゆく。

更に薄暗い部屋の中に入ると、人影らしきものが振り向き言葉をかけてくる。

「やあ、久しぶりだねベアード、いやベアルドナルドラ精霊王と呼んだほうがいいかな?」

「ベアードでかまわん…貴様がこの国の統治者か?」

暗がりで顔さえ見えないその影に、ベアードが答えた。


「そのとおりボクがこの国…いずれこの世界を全て支配する支配者オムニポテンス・デュアルだ、あははっ、南方の砂漠以来だねベアード」

笑いながら語る男は、ベアードの探していた者と同じ顔をしていた。

「デュアル…なのか?故郷に戻り召喚士になったのではないのか?」

目の前の王を名乗る男は、同じ顔はしていてもベアードの知る控えめで大人しかった男とは明らかに違っていた。


「召喚士?ああ、そんなことも目指していた頃があったねそう言えば、でもボクは覚醒したのさ、精霊などの力に頼らずとも自らで全てを操る魔道士としてね」

苦笑を噛み殺し王が答える。

「魔道だと?」

「ああ、人心を操り、阻むもの邪魔なものすべてを破壊する力さ」

「そんなものは…邪な妖魔の力に過ぎない」

「ベアード、キミは相変わらず堅いなあ、力に色などないよ力は力さ、そんな固い頭の変わり者だから真界において居場所がないのかな?」

「俺は好んで戦士として末界を旅しているのだ、それよりもデュアルそのような邪な力に頼り続ければ己を滅ぼしてしまうぞ」

「やれやれ今度は全能の支配者であるボクに説教かい、せっかく精霊王如きの君に神である僕の下僕としての名誉を与えようと思ったのだけど」

「神だと?そんな存在は七界全てにおいて存在などしていない」

「くっくっく、にぶいなあベアード、だからこれからなるのさ…この僕が、末界を征服し君らの真界までも征服してね」

「俺はこの末界において名誉と正義を重んじる戦士であり、真界では大地の聖なる息吹に育むものだ、そのような邪な企みに手は貸せぬ」

きっぱりと受け返すベアード。

「やっぱり君もかい?そんなとこがダメなんだよね戦士って堅物は、正義だの悪だのそんな曖昧なものに拘りすぎて」

「力は力なんだよ、力は他者をねじ伏せるだけのものさ、その力の結果がすべてを決める。その力を正義とやらにね」

笑いながらの詭弁が熱にうかれたまま続く。

「デュアル王とやら、どうやら此処には俺の旧知の友はいないようだ、失礼する」

諦めたようにそう言い残し部屋を出ようとするベアード。

「失敬だな君は、全能のが抜けているよ。それにボクが扱えるのは何も魔道だけじゃないよ召喚士としても上級なボクは、君に従う精霊どもを押さえ、その人化を解く術さえ封じているんだからね、真界においての七大王もこの世界での人としての姿では抗うことさえできないだろ?」

「俺をどうするつもりだ?」

部屋に閉じ込められ精霊化も封じられたベアードは、取り敢えず思案をつづけながら王に問いかける。

「くっくっ、意向など関係なく、君にはボクの両世界制覇の手駒になってもらうのさ無垢な下僕として」

今度はこみ上げる笑いをこらえることもなく侮蔑の眼差しで王はベアードに言い放った。


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