ベアルドナルドラ物語(ファンタジー)

放浪の戦士  再会 4

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「なあ、ベアード」

黙り込み酔いつぶれていたかと思われた男が声を上げた。

「ん?」

ベアードはエールを流し込む手を止め、男の問いかけに耳を傾けることにした。


「同じ戦士、同じ仲間として悪いことは言わねえ、今すぐこの国から離れたほうがいい…」

「それはなぜだ?」

起き上がりこちらを真剣な目つきで見つめる男を、ベアードも見つめ返す。


「この国ではもう、戦士は低霊よりも邪険にされている…」

シャンダルはベアードに向かい静かにそう言った。

「忠告は有難いがシャンダル、俺は…低霊でもないし、この国に留まるつもりもない、北方の戦乱地へ向うつもりだ」

「ただ、この国には昔知り合った友人がいるから、挨拶だけでもと思ってな」


「ああすまない、あんたが低霊でないのは付き従う精霊の数でわかる…精霊騎士長並みの凄腕ってこともな、でも挨拶だけにするんだな余計な争いも面倒だろうし…」

「ところで、そいつの居場所はわかるのかい?」

シャンダルの言葉に意外な顔をして、ベアードはこたえを続けた。

「住んでるところは知らぬが、召喚士の見習いで国ではギルドに世話になっているとよく言っていた」

「召喚士…なら王都のギルド本部へ行けばわかるだろう、名を尋ねれば組織の名簿でわかるはずだ」

「そうか、感謝する精霊騎士シャンダル」

「元、精霊騎士だ…ギルドの連中には気を許すなよベアード、奴らはこの国を支配する王と同じで戦士嫌いだからな」

「重ねがさね感謝する、貴殿もご多幸をな」

手にしたマグを置き最後にそう言ってベアードは、席を立ち出口へと歩き出した。


「おい、ベアード。そいつの名はなんと」

その背中にシャルダンが再び声をかける。


「デュアル、召喚士見習いのデュアルと名乗っていた」

立ち止まり顔だけ横に向け、ベアードが返事をする。


「………よりによって、あれと同じ名前かよ、狂魔王デュエルと」

シャルダンのつぶやきが届くこともなくベアードの姿は酒場から消えてゆく。

酒場の中ではベアードの幸運を願い、出陣の武運を久しぶりに精霊に祈るシャルダンの姿が後に残されていた。




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