全知全能の使役師 バンズ(ファンタジー)

雨季のはじめに 9

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「そもそもデュアルであることは、召喚の必要などないことなのだ。それは何時でも此処にある」バンズが言い放つ。

「あると言われても…何処にも…」

辺りを見回すだけのレクティス。

「目を凝らせばレクティス様にもご覧になれます、貴方様にお使えするために幾色もの多くの精たちが控えている姿が」

命を終えたヘキサがバンズの言葉に口を合わせた。

「招く必要などございません、ただ命を念ずれば良いのです」

更に付け足すようにヘキサが言った。

「見える?念ずる?」

「…うわっ」

目を凝らし念じて見回すと、己を取り囲むように幾つもの色の炎が鮮やかに燃え盛り幾重もの輪となり、取り囲まれているのに不意に気付いた。

「これが精霊?」

「覚醒したな!」

バンズの言葉にヘキサがうなづいた。

「見ましたのなら自ずと各々の持つ霊力がお分かりになるはずです、このように…」

黒い光を手に灯したヘキサが神殿の柱に其れを飛ばすと、神殿の柱は目に見えぬ恐ろしいまでの力でひび割れを起こし砕け散った。

「なんてことを…」

困った面持ちで柱を眺め呟くレクティスの足元から、願いを汲み取ったかのように幾つかの光が舞い飛び、崩れた柱を包んだあと元の姿にと修復を始めた。

「これは凄いな…いきなり再生の魔導を振るうとは…」

「少し思っただけなのに」

それが自らの力とは信じがたい思いでレクティスはまた呟いた。

「それが貴方様のお力なのです、望み願えばわたしのような下僕さえ手にすることでしょう」

「望む?願う?君のような??」

目の前の女性をみつめ、問いかけるレクティス。

「もちろんです」

「わたしにもそんな力が…あるのだろうか?」

今度はそのまま考え込み始めた。

「望み願うことです」

その言葉に静かに目を閉じたレクティスは、心に強く望み欲した。

やがて、微かに地響きが始まり神殿そのものが地震のように揺れ始める。

激しい揺れは奥に奉ってあったバンズの象を無残にも倒す。

もうもうと砂埃が舞う中、その中から、大きく吠える巨大な怪物が望み通りに這い出した。




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