全知全能の使役師 バンズ(ファンタジー)

雨季のはじめに 6

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がらんとしていたはずの神殿の入口にぽつぽつと人が集まりだしていた。

ざわめく人々に向かい躊躇なく歩くヘキサ。

未だその姿は忽然と現れた時のままのバンズそのものだった。

入口の広々とした石段を登る。

「おい!あんた、まだ障壁が…」

誰かが叫んでいる。

「ん?」

声をかけられたヘキサは、丁度、衝撃を受けたところで立ち止まってしまう。

激しい火花と音に包まれたまま、ただ立ちすくむヘキサ。

「術を解除するのだ!神王の降臨じゃ」

奥の方から年配の男の声が響く。

火花と音が静まったあと、気にする様子もなくヘキサは奥から走り寄った年配の男に向かって歩みだした。

床に這いつくばってそれを待つ男は、どうやら神官長を務める男らしい、その証拠に並び立つものも同じように男に習ってひふれしたからだ。

「神王様、こ度は…」

年配の男が今まさに、もったいぶって口上を述べようとしたところに、雰囲気を台無しにするかのような若い男が声を上げた。
「わあ、なんて綺麗なんだ」

若い男は手にした掃除道具もそのままに、つったたまま近づくヘキサを入口の脇からみつめていた。

「これ、畏れ多い、神王様に向かいなんて無礼を」

神官長は顔だけ若い男の方を見やり、慌ててまくしたてる。

「えっ?神王様?」

素っ頓狂な若者の声。

「お前は神殿に奉っておる神王像を見たこともないのか」

顔を真っ赤にして神官長は早口に叱り出す。

「そんなことないです、今も綺麗に掃除を終えたところですから」

「そのお姿と瓜二つなのがわからぬとは…」

「神官長様、それを言うなら少し離れた後ろでにやにや笑ってる二人のうちの一人が似てますけど」

神官長の言葉に若者はこう答えるばかりだった。

「このたわけもの!わけのわからぬことを申すな!何卒何卒この者のご無礼をお許し下さい」

動転のあまり神官長は頭を下げるのも忘れヘキサをすがるように見つめた。

「マスター…如何いたしましょう?」

神官長の道化のようなやりとりを見ていたヘキサは困ったように振り向いてバンズに問いかけた。

「では、茶番はしまいにしよう」

同じくやりとりを眺めていたバンズはその顔から笑みを消し、少しばかり驚いたような表情で若者を眺めたままそう答えていた。



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~ Comment ~

NoTitle

こんばんは。

まずは、プロともになっていただきまして、ありがとうございます。

このお話を拝読させて、いただいてます。
バンスは人の子といいながら、ベアード創造王と対等なのですね。
凄い力をもつ主人公ですね。創造王がクライアントとは。
TEA TIMEから突然、次元を操って景色が変わるってのが面白いです。
ファンタジーというか、神話そのものみたいですね。

位相が変わると、特別な力がないと干渉できないってのは、私もそうだと思います。

前回のお返事で、池の魚を素材にして説明してくださたのは、とても良くわかりました。上手いこと言うなあと納得しました。7つの世界も面白いです。未定が多いのは、ちょっと笑いました。

お話は読み進めていくにしたがって、世界観が理解できていくタイプの構成ですね。
ゆっくり場面を頭で考えながら、楽しく読ませていただきますね。

藍澤さん こんばんはです^^

放置プレイのこんな話を読んで頂き

ありがとうございます

気が多く浮気しょうなボクは 更なる別のバンズの話を書く予定でありますw

それに伴いまして 続きも書く予定ではございますので

ご勘弁の程を


いちごはニガテ
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