全知全能の使役師 バンズ(ファンタジー)

雨季のはじめに 4

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「お前が人の子と云う事は置いといて今の情勢を見せてやろう」

ベアードがそう言った途端、前触れもなく巨大な黒曜石の石版がテーブルの脇に出現した。

艶やかに磨かれた平らな表面は精霊の力によるものだろうか、呪文や詠唱も使わずに現れたそれは向かいあって座していた二人の王の姿をくっきりと映し出している。

「これが今のお前の国の姿だ」

そう指さした石の表面に東方の古の帝国の景観が映し出される。

それは瓦礫の山が連なる無残なものだった。

「とうの昔に、わしの国ではなくなっているがこれは酷いものだ」

バンズは映し出された争いの後の悲惨な光景を眺めながら呟いた。

「王宮はどうなんだ?」

「流石にその付近は神殿を境に固く守られ、外周部に点在する平民の領地が占領させられているにとどまっているようだが」

「石の花の洞窟は?」

「お前を祀った神殿が洞窟を覆うように建てらていて、信徒やギルドが必死に食い止めている現状だ、だがそれも時間の問題だろう、奴ら無粋なものたちは石の花の価値すらもわからずにそれを踏みにじってしまうに違いない」

その言葉に考え込んだバンズは暫し目を閉じていたあと、ヘキサグラムに新たな命令を下した。

「取り敢えずこの蛮族どもをわしの代わりに、追い払ってくれ、そのあとはまた考える」

「マスターお言葉ではありますが、如何にわたくしめの力を用いましても此処中央大陸の高地から遥か東方までは距離的にも次元的にも時を要すものなのですが…」

機嫌を伺うようにヘキサグラムは返事をかえした。

「何を言っているのだ!もう此処は東方のその神殿に在るではないか」

呆れたようにバンズが答える。

バンズの侮蔑の眼差しはくり抜いただけの窓を映している。

それはさきほどと違い森特有の木と土の香りをもたらす風など舞い込むことはなく、薄暗い黴臭い瘴気が漂わせるばかりのものに変わり果てていた。





0707加筆修正
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~ Comment ~

こんばんは

ご訪問&コメントありがとうございました。

このシリーズがすごく好きで、毎回更新を楽しみにさせていただいております。
雰囲気が、ファンタジーらしくて素晴らしいです。

続きを楽しみにしております♪

椿さん今晩は


ありがとうございます^^
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