道具の役目


多分この辺りからボクは壊れ始めていたのかもしれない。

特に物に執着などしなかったはずのボクは、理恵との時間、理恵との捻れた世界に囚われ始めていた。


「一度しか言わないからよく聞けよ」

弄ぶことに飽きたボクは、椅子に座り直して尊大に言い放つ。

「はい」上気したままの顔で畏まった理恵が見つめながら答えてくる。

「いい感じだ、返事はひとつ、はいがいいな、オマエは恋人でも何でもないタダの所有物だから今後二人きりのこの時間は名前など呼ばない」

状況に酔い始めたボクは思いつくことを遠慮なく命じてゆく。

「はい、承知しました和磨様」

「それはダメだ、和磨様とかご主人様とかはだめだ、はいだけにしろ」

「…はい、この貴重な時間はそういたします」少し困り顔の答えだった。

「…まあ、…いい、オレはペットや所有物に名前をつけたり、ましてや服を着せたりする趣味などないからな」

「はい、承知しました」そう言うと理恵は着ているものをすぐさま脱ぎだした。

思ったことが通じてボクは満足だった。

「そうだ、物分りがいいのはいいな、…そうだなオマエの務めはオレの命ずることをすること特に命令がない場合はオレに奉仕をする事、性処理の道具として」

「では、この卑しい口をもってご奉仕させて頂いてもいいでしょうか?」

顔がぱっと綻んだ。望みでも叶ったのだろうか。

「オレは読みかけの本を読むことにするから、勝手にしろ」

手荷物から来るまでのあいだに読んでいた本を取り出すまでの間、理恵はおとなしくよつんばで控えている。

本を手にして椅子の前に立ったボクの前に、這って近づいた理恵がいそいそとズボンと下着を脱がせてゆく。

「失礼します」

深く椅子に腰をおろし大きく開いた脚の間に理恵の頭が割入った。

ボクはあまり揺らさないように命じたその頭に本を置き、股間に吸い付いた柔らかく暖かい感触を楽しみながら本の世界へとボクは埋没していった。


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