変わりない始まり


「和磨様、お腹はすいてはないですか?少し歩きますけどランチの予約をとってあるのですけど、イタリアンなのでお口にあうか…」

理恵が心配そうにこう切り出した。

「もうそんな時間か、別になんでもかまやしないけど」

ボクは携帯の時間をちらりとみてそう応える。

とりあえずカフェでの支払いを済ませ、二階にある店を出てビルの階段を降り通りにと向かう。

理恵のあとについて少し歩くと駅入口と書かれた広い交差点にとついた。

「まさか馬車道駅の方まで歩くの?」

「向こうに見えるコーラの看板のビルのあたりですから、少しの辛抱です」

理恵はそんなボクの問いかけにあやすように応える。

橋を渡り先ほどの看板のビルの裏へと回る。

ビル街の裏通りとあって、道路には車のパーキングスペースが幾つもあった。

こんなとこに店があるのか?そんな疑問を抱きながら辺りを眺め後をついてゆく。

「ここですよ」

そう言われてたちどまると、確かにそこはガラス張りで店内が見渡せるレストランのようだった。

入口には木枠の看板とご丁寧にイタリアの国旗が飾ってある。

店に入り理恵が予約の名を告げると窓際の席にと案内された。

休みのせいか人気のせいか、随分と多くの女性客でにぎわっているようだ。

腰を下ろすと給仕が水とメニューをもってきた。

「席の予約だけなのでお料理を選んでいただきたいのですけど…」理恵の声。

メニューを渡されたボクは適当にコース料理を頼むことにした。

しばらくしてやってきた再び給仕に飲み物を聞かれせっかくだからとグラスのワインまで頼む。

特にたわいのない会話を食事の合間に二人でかわす。

出されたパスタは好みの味で、ボクは客が多いことを勝手になっとくしてしまっていた。

食事も終わり珈琲を飲んでいるボクに、理恵が問いただす。さっきまでとは変わり表情も硬い。

「このあと一応ホテルまでとってあるのですけど、都合やお時間は大丈夫でしょうか?」

そんな理恵の言葉にそういえば妻子もちとゆうことにしてあったなとボクは思い出した。

「遅くなってもうちの奴はオレに関心もないし、電車がなくなる前につけばいいから夕方くらいまでかなあ」

実は独り者で特に困りもしないが、ボクはそうこたえておくことにした。

ホッとした表情になった理恵は先ほどの当たり障りのない話を再びはじめだる。

食事にホテル、よくある逢瀬のデートと変わりはしないなとボクはその時は感じていた。
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